現金一括払いかリースか借入か
事業をしていると、設備投資などでまとまった金額の支払が必要なことがあります。
事業用の機械や車の購入など。
その時に出て来るのが、現金一括払いかリースか借入かという問題。
どの方法がおトクですか?という質問を受けることがあります。
これが唯一の正解というのはないですが、基本的な考え方を押さえた上で、何を重視するかで決めていくことになります。
税金?を重視
現金一括払いかリースか借入かの質問を受ける時に、よく聞かれるのは、税金的にどれが一番おトクですか?というもの。
事業者としては、出来るだけ税金の負担を減らしたいと考えるのは自然なことでしょう。
ただ、質問としてはシンプルですが、回答としては非常に難しいものです。
細かいことを言えば、まず税金が何を指すのかというところからの確認が必要になります。
もちろん、ニュアンスから、利益が減って税金も減るということだというのは推測出来ます。
例えば、1,000万円の事業用の機械を購入する場合。
現金一括払いの場合であれば、1,000万円の支払をして、固定資産に計上して、耐用年数等に基づいて減価償却費として経費計上していきます。
耐用年数が5年で、減価償却費が下記のようになるとします。
1年目 200万円
2年目 200万円
3年目 200万円
4年目 200万円
5年目 200万円
そうすると、毎年200万円づつが経費計上されることになる。
トータルで考えれば、1,000万円が経費計上されて、利益が1,000万円減るので、「×税率」の分だけ税金が減ることになります。
事業用の固定資産であれば、償却資産税がかかるなど、他の要素もありますが、ここではシンプルに考えるため、割愛して考えていきます。
リースの場合はどうか。
通常は、1,000万円相当の事業用の機械の代金を毎月のリース料として支払うことになります。
リース料 18万円/月
リース期間 5年
という条件だった場合。
比較としては、リース料×リース期間で、総支払額を計算しておきます。
18万円/月×60ヵ月(5年)=1,080万円
トータルで考えれば、1,080万円が経費計上されて、利益が1,080万円減るので、「×税率」の分だけ税金が減ることになります。
リースの場合には、その固定資産はリース会社の所有になるので、償却資産税などの負担はありませんが、それらの諸経費込みでリース料が設定されていることが一般的です。
借入の場合はどうか。
金融機関から1,000万円の借入をして、代金を支払い、後は金融機関に毎月利息と共に返済していくという流れです。
借入金額 1,000万円
利率 1%
返済期間 5年
という条件で、利息が5年で25万円となった場合。
トータルで考えれば、1,025万円が経費計上されて、利益が1,025万円減るので、「×税率」の分だけ税金が減ることになります。
固定資産を自身で所有することになるので、償却資産税などの他の要素については、現金一括払いと同じように考えることになります。
純粋に税金が減ることだけを考えるのであれば、上記の例の場合、トータルで経費計上する金額が一番多いリースを選ぶことになるでしょう。
負担額を重視
事業をしていく上で、税金の負担について考えることは重要ではありますが、もちろんそれだけで判断することばかりではありません。
税金の負担は減っているが、実質的な負担額が増えているということはあるものです。
前項の例でいうと、税率を30%とした場合
・現金一括払い
総支払額 1,000万円
税金 △300万円(1,000万円×30%)
実質負担額 700万円
・リース
総支払額 1,080万円
税金 △324万円(1,080万円×30%)
実質負担額 756万円
・借入
総支払額 1,025万円
税金 △307万円(1,025万円×30%)
実質負担額 718万円
実質負担額が少ないということは、トータルで出ていく資金が少なくなるので、手元資金が一番多くなるということ。
その視点で考えれば、上記の例の場合、現金一括払いを選ぶことになるでしょう。
資金繰りを重視
事業を継続していく上で、大事になってくるのは、資金繰りです。
入金と支払いのバランスを考えながら、支払方法などを選択していく必要があります。
こうしたまとまった資金の支払がある場合には、特にその影響を検討しておきたいところでしょう。
前項までの例で、毎年の支払金額を考えた場合。
・現金一括払い
1年目 1,000万円
2年目 なし
3年目 なし
4年目 なし
5年目 なし
・リース
1年目 216万円
2年目 216万円
3年目 216万円
4年目 216万円
5年目 216万円
・借入
1年目 209万円
2年目 207万円
3年目 205万円
4年目 203万円
5年目 201万円
まとまった資金があり、資金繰りに余裕がある場合には、現金一括払いを選ぶことも検討します。
資金繰りに余裕があるわけではないのであれば、毎年一定額の負担となるリースを選ぶか、借入にするか。
総支払額が増えたとしても、まとまった資金が手元になくても、前倒しで設備投資出来るというのは、事業を行っていく上では、メリットになり得ます。
おわりに
どの方法にもメリット・デメリットがあり、その後の状況次第ではメリット・デメリットが入れ替わることもあります。
簡単に答えが出ることばかりではありませんが、その時納得しているというのが大切なのかなと思っています。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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