個人事業としてお金が残っているかの目安となる「元入金」
個人事業としては利益が出ているはずなのに、それ程手元にお金が残っていない。
あるいは口座の残高が増えていかない。
そんなときには、個人事業としてのお金とプライベートのお金を区分けして考えてみると分かることもあります。
「元入金」の最初のイメージ
「元入金」というのは、個人の確定申告をした際に、青色申告決算書を作成していれば、その中の貸借対照表に記載されている項目になります。
国税庁ホームページ
確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
令和5年分青色申告決算書(一般用)の書き方(PDF/2,476KB)
期首と期末とでは同じ金額が記載されますが、期首の金額は下記のように計算すると定められています。
国税庁ホームページ
確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
令和5年分青色申告者のための貸借対照表作成の手引き(PDF/9,525KB)
会社でいう資本金にあたるものとされていて、ざっくり言えば、個人事業につぎ込んだお金の残高みたいなイメージでしょうか。
最初に、個人事業用のお金として、プライベートの口座から個人事業用の口座に100を振り込んだ。
このときの仕訳を、
預金 / 事業主借 100
としたとします。
事業主貸・事業主借の考え方については、別の記事で取り上げていますので、そちらをご参照ください。
もしも、その年のお金の動きがこの一つしかなかった場合には、元入金を上記の式に当てはめて計算すると、
翌期首の元入金=期末の元入金「0」+青色申告特別控除前の所得金額「0」+事業主借「100」ー事業主貸「0」
となり、翌期首の元入金=100になります。
最初に個人事業につぎ込んだお金は、「100」とすると分かり易いかもしれません。
元入金の増減
国税庁ホームページ
確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
令和5年分青色申告者のための貸借対照表作成の手引き(PDF/9,525KB)
元入金が増減する要素は、下記の3つ。
①青色申告特別控除前の所得金額
②事業主借
③事業主貸
「①青色申告特別控除前の所得金額」は、個人事業の利益がプラスかマイナスかということ。
プラスが大きくなれば、元入金はどんどん増えていきます。
反対に、マイナスが大きくなれば、元入金はどんどん減っていき、最初につぎ込んだお金以上のマイナス出れば、元入金自体がマイナスとなってしまいます。
「②事業主借」は、ざっくり言えば、新たに個人事業につぎ込んだお金というイメージでしょうか。
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確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
令和5年分青色申告者のための貸借対照表作成の手引き(PDF/9,525KB)
「事業主借」勘定が増えれば、それだけ個人事業に使えるお金が増えることになり、元入金としては増えていくことになります。
「③事業主貸」は、ざっくり言えば、個人事業のお金を生活費などとしてプライベートに移したというイメージでしょうか。
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確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
令和5年分青色申告者のための貸借対照表作成の手引き(PDF/9,525KB)
「事業主貸」勘定が増えれば、それだけ個人事業からプライベートに移したお金が増えることになり、元入金としては減っていくことになります。
元入金の状態をみる
元入金の最初の段階から増減を加味していくと、期末から翌期首時点の残高が金額として出てくることになります。
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確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
令和5年分青色申告決算書(一般用)の書き方(PDF/2,476KB)
上記の例の場合。
期首時点の元入金は、「4,624,540円」
令和5年分の青色申告特別控除前の所得金額は「4,121,720円」ですが、個人事業として令和5年で10年目で、毎年同じぐらいの利益が出ていたとした場合。
個人事業としての利益としては、累計で4千万円ぐらいあるはずですが、元入金としては4百万円ぐらいしかない。
その差額は、色んな要素が考えられますが、多くはプライベートに移した金額と考えれます。
それが多いのか少ないのかというのは一概に言えませんが、感覚としてお金が残っていないと思うのであれば、プライベートで使う金額が多いのかもしれません。
元入金がマイナスとなっているのであれば、個人事業で出た利益以上にプライベートで使ってしまっている可能性があります。
少なくとも、個人事業の利益が足りていないということは言えるでしょう。
個人事業としてお金が残っているかが気になったら、「元入金」を見てみるのも有用です。
おわりに
個人事業で利益は出ているのに、お金が残っていない、というお話の時には、元入金の金額をまず見るようにしています。
それで全てが分かるわけではありませんが、何かしらの兆候が出ているものです。
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この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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