事業と事業以外の間のお金の貸し借り
事業をしていて、お金の貸し借りといえば、銀行等の金融機関からの融資がイメージしやすいでしょう。
第三者から事業に必要なお金を調達する。
それ以外であれば、近しい関係のところからのお金の貸し借り。
例えば、会社と社長個人。
お金の貸し借りをしている意識はなくても、税務会計上は発生していることがあるものです。
第三者からお金を借りる場合
事業を始めるにあたって、初期投資などに必要な開業資金を調達するために、銀行などの金融機関から融資を受ける。
例えば、事業の運転資金として、A銀行から1,000万円を借入した場合。
会計仕訳としては、
預金 10,000,000 / 借入金 10,000,000
摘要:A銀行より借入
のように処理をしていきます。
A銀行から1,000万円を借りたのだから、借入金があるという認識と一致しています。
あとは、あらかじめ決められた返済方法で返済していくのみ。
元金返済100,000円+利息2,000円を支払うのであれば、
借入金 100,000 / 預金 102,000
支払利息 2,000
摘要:A銀行へ借入返済
のような処理をしていく。
これまた、借入金を返済しているという認識と一致しています。
第三者にお金を貸す場合
第三者にお金を貸した場合も同様です。
事業としてお金を貸すためには貸金業法などの関係もありますが、ここではそういった前提は省略して、簡便的に記載していきます。
例えば、B社に500万円を貸付けた場合。
会計仕訳としては、
貸付金 5,000,000 / 預金 5,000,000
摘要:B社へ貸付
のように処理をしていきます。
B社へ500万円を貸したのだから、貸付金があるという認識と一致しています。
あとは、あらかじめ決められた返済方法で回収していくのみ。
元金返済50,000円+利息1,000円を回収したのであれば、
預金 51,000 / 貸付金 50,000
受取利息 1,000
摘要:B社から貸付返済
のような処理をしていく。
これまた、貸付金を回収しているという認識と一致しています。
特別なことは何もありません。
法人が代表者個人からお金を借りる場合
これが法人と代表者個人になると、視点が少し変わることになります。
単純に、法人が代表者個人からお金を借りているのであれば、第三者の場合と同様に、借入金の処理をしていくことになる。
直接お金のやり取りがあるのであれは、そこは同じになるでしょう。
それ以外の場合としては、間接的にお金のやり取りがあったとする場合。
法人の経費を、代表者個人が立替えている場合などが該当します。
例えば、取引先との接待の飲食代を社長個人が立替えている場合。
本来であれば、法人側で社長個人が立替している処理をして、
接待交際費 30,000 / 未払金(社長個人) 30,000
摘要:C店 取引先D社 3名
後日社長個人に法人からお金を渡して精算するのが基本です。
未払金(社長個人) / 預金 30,000
摘要:社長個人へ精算
しかしながら、そこまできっちり精算などをしていない場合には、経費だけ計上されたままになっていることもあります。
その場合には、法人が社長個人にお金を借りているという処理をすることも。
接待交際費 30,000 / 借入金(社長個人) 30,000
社長個人としては、法人にお金を貸した意識はないかもしれませんが、法人としては社長個人からの借入金として計上されている場合があります。
法人が代表者個人にお金を貸す場合
前項と同様に、単純に、法人から代表者個人にお金を貸しているのであれば、第三者の場合と同様に、貸付金の処理をしていくことになる。
直接お金のやり取りがあるのであれは、そこは同じになります。
それ以外の場合としては、間接的にお金のやり取りがあったとする場合が挙げられます。
法人のお金で社長個人のプライベートな支払いをするなども一例です。
例えば、社長個人のプライベートな旅行費用を法人のお金から支払った場合。
法人の経費ではないのですが、法人のお金が動いているので、会計処理は必要になります。
本来であれば、法人側では社長個人の支払いを立替している処理をして、
立替金(社長個人) 100,000 / 預金 100,000
摘要:社長個人 旅行費用 立替
後日社長個人から法人にお金を入金してもらって精算するのが基本です。
預金 100,000 / 立替金(社長個人) 100,000
摘要:社長個人から精算
しかしながら、そこまできっちり精算などをしていない場合には、立替分だけが計上されたままになっていることもあります。
その場合には、法人が社長個人にお金を貸しているという処理をすることも。
貸付金(社長個人) 100,000 / 預金 100,000
社長個人としては、法人からお金を借りた意識はないかもしれませんが、法人としては社長個人への貸付金として計上されている場合があります。
個人事業とプライベートのお金の貸し借り
個人事業の場合にも、法人と代表者個人のような関係性のお金の貸し借りというのがあります。
個人事業のお金とプライベートのお金を分けて考えるというようなイメージです。
個人事業で利益があがれば、個人事業のお金が増えていき、そのお金を生活費などの事業以外のところで使えば、個人事業からプライベートへお金を貸しているという状態になります。
逆もまた然りです。
ただ、法人と代表者個人の場合と違うのは、精算が必要かどうかというところ。
法人と代表者個人とでは、別の人格のようなものなので、区別して考える必要があり、取引が必要となります。
それが、個人事業とプライベートでは、同じ人格のものなので、厳密に区別しなくても問題ありません。
部門別管理をしているようなイメージでしょうか。
個人の中に、事業部門とプライベート部門があって、概念的には分けるものの、管理単位としては、個人のみなので一つのものとして取り扱う。
そのため、そこまで意識する必要はないのかもしれません。
おわりに
自分の認識と税務会計上の認識がズレていることはよく見掛けるところです。
定期的にそのズレを認識するところから始めるのが大事なのかなと思っています。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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