業務を分担することで浮いた時間について考える
ひとりで業務を完結させようとすると時間に限界がある。
それなら、業務を分担することで、時間が出来るのではないか。
税理士として独立開業してからも、そういった考え方で業務を進めてきました。
それが間違っているわけではないと思うのですが、想像しているよりも時間が出来ていないかも?と思うことも。
全ての事例に該当するわけではないですが、自分の経験を元に、改めて、業務を分担することで浮いた時間について考えてみました。
ひとりで業務を完結する場合
例えば、私が携わっている税理士業界の業務で考えてみます。
顧客の月次決算を記帳代行も含めて実施している場合。
大まかな業務の括りとして、
①月次資料の収集
②月次入力
③月次報告
というように分けてみます。
「①月次資料の収集」は、月次決算に関係する資料を収集するというもの。
口座明細や請求書・領収書など、会計仕訳の元となる資料が該当してきます。
収集方法は色々あって、クライアント先に直接訪問して紙の資料を収集したり、データでやり取りしたり。
「②月次入力」は、会計ソフトなどに仕訳を入力していくというもの。
そこには、収集した月次資料を区分けして、整理しながら、保管するということも含まれています。
「③月次報告」は、出来上がった月次決算の結果をクライアント先に報告するというもの。
そこには、月次決算の内容だけでなく、年次決算を見据えた内容であったり、他の税務に関係する相談だったり、全然関係ない相談だったり、いわゆるクライアント先と対話をする時間になります。
これらの業務に掛かる時間というのは、クライアント先の状況や内容によって変わってくるものです。
例えば、クライアントAに掛かる上記の業務をひとりで完結する場合の時間として、
①月次資料の収集
→3時間
②月次入力
→6時間
③月次報告
→2時間
の計11時間であったとします。
業務を分担してみる
上記の例を元に、もう一人に業務を分担した場合を考えてみます。
業務を行うのは、BさんとCさん。
元々はBさんひとりで行っていました。
①月次資料の収集
→Bさん:3時間
②月次入力
→Bさん:6時間
③月次報告
→Bさん:2時間
これをCさんにも一部業務を分担してもらうことに。
どの業務をどこまで分担するかというのは、業務量や能力などによっても変わってきますが、まずは「②月次入力」を分担することにします。
①月次資料の収集
→Bさん:3時間
②月次入力
→Cさん:6時間
③月次報告
→Bさん:2時間
単純に考えれば、こういった形になります。
もちろん、BさんとCさんとで「②月次入力」に掛かる時間が同じになるとは限りませんが、同じ時間が掛かるという前提で考えてみます。
「②月次入力」をもう少し細かく分けると、
・月次資料の整理 1時間
・会計ソフトへの入力 4時間
・チェック 1時間
となっていました。
そうすると、業務分担としては、
①月次資料の収集
→Bさん:3時間
②月次入力
・月次資料の整理 Cさん:1時間
・会計ソフトへの入力 Cさん:4時間
・チェック Cさん:1時間
③月次報告
→Bさん:2時間
となり、Bさんが業務に掛かる時間は、計5時間となり、ひとりで完結させる場合に比べて、大幅な時間減となりそうです。
業務を分担した後の業務
業務を分担するということは、誰かの業務を誰かが代わりに行うというものなので、単純に考えれば、上記のような考え方をすることも可能です。
ただ、それだけでは終わらないケースもあります。
今回の場合であれば、「②月次入力」をCさんが行いますが、「③月次報告」はBさんが引き続き行うため、Bさんとしても「②月次入力」について何かしら内容を見ておきたいところです。
そうなると、
①月次資料の収集
→Bさん:3時間
②月次入力
・月次資料の整理 Cさん:1時間
・会計ソフトへの入力 Cさん:4時間
・チェック Cさん:1時間
③月次チェック
→Bさん:2時間
④月次報告
→Bさん:2時間
のように、赤字部分の業務が新たに追加される。
場合によっては、「①月次資料の収集」→「②月次入力」の流れで、Bさんが準備することがあり、追加の業務が発生していることもあります。
BさんとCさんとで業務分担をすることで、Bさんが業務に掛かる時間は、
単純に考えれば、
計11時間 → 計5時間
になりますが、Bさんのチェックなど追加で発生する業務を考えれば、
計11時間 → 計7時間
になることもあります。
業務の連携が上手くいかなければ、追加で発生する業務が大きく増えて、ひとりで完結していた時と変わらないということにもなりかねません。
業務分担をする際には、その後の業務を注視して管理し続けることが必要になるものです。
おわりに
単純に人を増やせば、時間が浮いてくる。
そう上手くいくわけではないことは分かっているけれど、なかなか検証されていないことが多い印象です。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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