毎日経理していても忘れる
税理士として独立開業してからは、業務として他の方の経理処理などの税務会計のサポートをするだけでなく、自分自身の事業の経理も行う必要があります。
日々仕事として税務会計に触れているので、経理処理を行うこと自体に抵抗感やハードルを感じることは少ないとは思いますが、まとめて一気に処理するとなると、時間もかかりますし、大変なことには変わりはありません。
今回は、自分含めて、経理処理をするために心掛けること・工夫することなど、まとめてみました。
毎日経理をする
私だけではないと思いますが、日々色んな事があるので、事業に関する内容について、全てを記憶しておくというのは難しいものです。日々発生する領収書や請求書など、売上は大したことないと思っていても、1カ月分でも溜まるとそれなりの分量になります。
基本的には、月次ベースで損益等を把握していくというのが一般的です。しかしながら、経理処理を行うタイミングも1カ月単位とする必要はありません。
時間が経てば経つほど、内容を忘れてしまう可能性が高くなるので、出来ればすぐに経理処理しておきたいところです。
本業があるから、そんなに経理のことばかり考えていられない、時間を掛けていられない、という考え方もあるかと思いますが、だからこそまとめて処理することはおススメ出来ません。
内容を思い出したり、資料を探すという時間を考えれば、毎日10分でも領収書を整理する・入力することはそれ程手間にはならないかなと思います。
例えば、朝一番に前日の領収書を入力して、月ごとの保管ファイルに入れる。これを1カ月続けるだけでも、領収書の整理具合と経理処理の効率としては格段に違ってきます。
可能であれば、クラウド会計などを導入出来れば、領収書などの現金支出だけでなく、銀行口座やクレジットカードを連携させて、会計ソフトに取り込むことで、毎日の入出金の内容を確認しながら、経理処理を進めることが出来ます。
それでも、内容を忘れていることはあるのですが、思い出すスピードなどは早くなるとうのが実感です。
計上漏れを防ぐ
毎日経理をするということで、トータルでかかる時間を短縮出来たり、短い時間でも継続することで、処理し忘れなどは起こりにくくなるのですが、それでも絶対ないとは言い切れません。
例えば、個人事業で、
A銀行・・・事業用メイン
B銀行・・・プライベート
としている場合。
基本的には、事業用メインとして使用しているA銀行の口座だけをクラウド会計など会計ソフトに連携させておけば、毎日経理していくことで計上漏れの発生を防ぎやすくなります。
しかしながら、実際の取引では例外も起こり得ます。
A銀行の口座は、個人事業を始めたときに新しく作ったもので、B銀行の口座は以前から使っていた場合。A銀行の口座が出来る前に、口座振替の手続きが必要で、とりあえずB銀行としている。
これが年1回の口座振替となれば、B銀行の口座をクラウド会計など会計ソフトに連携させない場合も多いでしょう。そうなると、口座振替の通知が来ていても失念する可能性が高くなります。
これは一例なので、1件ぐらいであればチェックリスト等を使ったり、忘れないための工夫をすることで対応出来るかもしれませんが、数が多くなってくるとその管理だけでも大変です。
そういった場合には、事業用メインで使用しているA銀行の口座に事業の入出金を集中させることを心掛けることが大切です。今回の場合であれば、B銀行からの口座振替をA銀行に変更する。
簡単なことで、改まって言うことではないのでは?と思われるかもしれませんが、意外にそのまま放置されているケースは多いものです。こうした視点を持って、毎日経理することで更に効率的に進めることが出来ます。
区別する手間を省く
クラウド会計などデータ連携は便利なものですが、それだけでは手間暇が増えてしまうこともあります。
例えば、個人名義のクレジットカードを事業用とプライベートで使用している場合。
明細自体の数がそれ程多くなければ区別し易いですが、多くなってくると煩雑になります。
事業用とプライベートの割合が「1:9」など極端に事業用が少ない場合には、取り込んだクレジットカード明細のデータのほとんどが経費ではないので、データを取り込んでも処理する手間だけが増えるとも言えます。
クレジットカード明細データの連携はせずに、事業用の部分だけを手動で入力する方法もありますが、計上漏れの可能性が高くなってしまいます。これもチェックリストなどで計上漏れを防ぐように工夫することも出来ますが、せっかくの連携機能は使いたいものです。
こういった場合、クレジットカードであれば、事業用とプライベートに分けてカードを持つということも一つの方法です。
もちろん、クレジットカードのポイントの管理であったり、そのお店でVISAは使えるけどAMEXは使えないなど、全てにおいて使い分けることが出来ないこともありますが、意識して使い分けておくと後々の区別する手間を省くことが出来ます。
おわりに
毎日経理する、データ連携する、などその仕組みを使えば効率化出来るというようなイメージを持ってしまいがちですが、なかなかそう上手くはいかないことがちょくちょく起こります。だからといって、その仕組みを使わないというのは本末転倒かなと。便利な仕組みを使いこなすには、ある程度は従来のやり方を変えることも必要なのかなと思います。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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