固定資産台帳を見直すタイミング
事業を行っていると、消耗品のような使い切りのモノだけでなく、ある程度の期間使用するモノもあります。
こうしたモノは、消耗品費などの一般的な経費とは区別して、固定資産台帳に登録して管理していくことになります。
税理士という職業柄、固定資産台帳を見る機会はよくありますが、廃棄などしてもう存在していないモノが固定資産台帳に残っているというのを見掛けることがあります。
今回は、固定資産台帳の管理について、その見直しのタイミングについてまとめてみました。
なお、これらの情報は、2021年9月1日現在の状況となりますので、最新情報は、リンク先の情報等も合わせてご確認されますようご留意ください。
固定資産台帳とは
事業の損益を1年単位で把握していく場合には、その期間の損益をより適正に把握するためと課税の公正性を保つためという意味で、その期間を超えて影響がある経費については、支払った期間のみの経費ではなく、影響がある期間の経費として認識する必要があります。
いわゆる減価償却というものであり、その考え方は国税庁のホームページにも掲載されています。
以下は個人の事業に係る所得税についての内容ですが、法人の場合も基本的な考え方は同様です。
国税庁ホームページ
減価償却のあらまし
こうした減価償却費の計算も含めて、固定資産の管理のために、固定資産台帳を作成することとなります。
統一されたフォーマットというのはある程度はありますが、必要項目を満たしていれば多少が違っていても問題ありません。
会計処理をソフトで行っている場合には、同じメーカーから出されている減価償却用のソフトを利用して固定資産台帳を作成していることが多いかと思います。
私がメインで利用しているJDLの場合は、下記のようなフォーマットです。
JDLホームページ
減価償却マニュアル
固定資産を登録していくことで、建物・機械装置等の区分ごとに一覧で表示することも出来ます。
新規登録するのを忘れるということはあまりないかもしれませんが、減価償却が終わった資産だと
損益に直接影響がないこともあり、その後の資産管理が漏れやすくなるところです。
そういった漏れを防ぐために、定期的に見直すことが必要となりますが、そのタイミングをあらかじめ決めておくことがおススメです。
見直しのタイミング① 資産登録時
まずは、固定資産を廃棄するタイミングとして分かり易いのは、古いモノを新しいモノに入替する時になります。
現場で実際に交換する作業をしたり、入替に関わっていれば、古いモノがあるということはすぐに認識できますが、経理処理を担当するのが別の人の場合、書類でのやり取りになるので、すぐに認識するのは難しいところがあります。
ある程度の規模の組織であれば、一定金額以上の固定資産の購入などは稟議書で承認手続きを社内で行っていることもありますが、中小企業であればなかなか難しいところです。
その場合には、固定資産の新規登録をする際に、古いモノとの入替かどうかをその都度確認することになります。
入替の場合には、古いモノの情報も確認した上で、廃棄したタイミングで固定資産台帳に反映させることとなります。
その都度確認というと、原始的で手間がかかるように感じてしまうかもしれませんが、他の経費に比べれば、固定資産の取得自体の頻度は多くないので、業務の一つとして確立してしまえば、それ程負担とはならないでしょう。
見直しのタイミング② 決算時・確定申告時
法人の決算や個人の確定申告時には、固定資産台帳で計算された減価償却費や期末簿価など、会計帳簿との整合性を確認することが必要となります。
法人であれば、申告書に記載される別表十六関係、個人であれば、青色申告決算書に記載される減価償却の計算の元資料となります。
国税庁ホームページ
令和3年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和3年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)
別表16(1)
国税庁ホームページ
令和2年分青色申告決算書(一般用)の書き方
日々の処理の中では、固定資産台帳を一つ一つみるということはあまりないかもしれませんが、1年に1回のこのタイミングであれば、自然と見直すことになります。
どちらかというと、会計帳簿と固定資産台帳の合計数値の合致に焦点を当てがちですが、固定資産がまだ使われているかという視点で見ることも重要です。
見直しのタイミング③ 償却資産申告時
事業用の資産を所有している場合、事業所がある市町村に対して償却資産(固定資産税)の申告が必要な場合があります。
大阪市の場合
大阪市ホームページ
令和3年度償却資産(固定資産税)の申告の手引
申告の際には、対象となる固定資産の一覧を作成して、提出することとなります。実際には、最初の申告の際に、固定資産一覧を提出し、その後は増加した分・減少した分の申告をしていくことで、市町村にある固定資産一覧を増減させるような流れになります。
この際にも、固定資産台帳をベースに償却資産(固定資産税)申告書を作成することとなるので、固定資産台帳を見直すことが出来ます。
個人であれば、所得税の確定申告と対象となる期間が1~12月で同じとなりますが、法人で決算期が12月以外であれば、確認するタイミングが違ってくるため、よく言えば固定資産台帳の確認のタイミングが一つ増えるとも言えます。
おわりに
自分できっちり確認出来ればいいのですが、日々の業務に追われて、タイミングを逃してしまうということであれば、業務に紐づけたタイミングで確認することも一つの方法です。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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