税金が増えるのが先か、減らすのが先か
これまでは会社勤めをしていて、給料をもらっていたが、独立開業して自分で事業を行うとなると、事業の状況はもちろんのこと、税金についても気になるところです。
税理士という職業柄、色んな事業をされている方にお会いする機会があります。
これから独立開業しようとされている方、事業を始めたばかりの方、何十年と事業をされている方など、それぞれの状況によって千差万別です。
特に、事業を始めたばかりの方とお話をしていると、税金をいかに減らすのかということに終始してしまうことも多々あります。
今回は、事業に係る税金について、細かい税法等の内容ではなく、その付き合い方について、ひとつの考え方をまとめてみました。
利益に対して発生する税金
個人でも法人でも、事業を行うにあたり、税金は切り離して考えることは出来ません。
色んな種類がありますが、ここでは、所得税・法人税など利益に対応する税金を念頭に置いて、話を進めていきます。言葉の定義などは、イメージを掴んでいただくため、ざっくりしたものとしています。
利益は、事業で得た収入から、事業にかかった費用を差し引いて計算することになります。
税金は、そうして計算した利益に税率を掛けて計算することとなります。
厳密には、税金を計算するための利益は「課税所得」と呼ばれ、ここでいう利益とは意味合いが少し違うところがありますが、あくまでイメージを掴むためなので、同じものとして取り扱うこととします。
利益を増やす
単純に考えれば、利益が増えれば、税金が増えます。せっかく稼いだ利益を税金で取られるとなると、何とか減らせないかと考えるのは、自然なことかもしれません。
特に事業を始めたばかりの方であれば、立ち上がりは、利益が出にくいことが多く、税金の負担が大きくなると、経営状況としては厳しくなると考えてしまうところでしょう。
そういったお話はよくお聞きするところではあります。
そのため、税金の負担を減らすために、節税と考えて、費用を増やそうとする場合もあります。そうした節税術といった情報は巷に溢れているので、よく見聞きすることがあるのでしょう。
しかしながら、よくよく考えると、事業として利益が出ていなければ、ここで言う税金は発生しないことになります。
そうなると、節税と考えて計上している領収書はただマイナス幅を膨らませているだけかもしれません。
もちろん、厳密には、税金の計算上、その年に発生したマイナスの損失を翌年以降に繰り越して、将来発生する利益と相殺することが出来る場合があります。
そういったことを念頭に置いて、処理されているのであれば、問題ありませんが、私が見る限りそこまで計算されてというのはあまりない印象です。
まずは、利益を増やすことを優先していくことが事業にとって有用な場合が多いでしょう。
当たり前と言えば当たり前で、これを理解できない経営者の方はそうそういないのですが、実際は違うことを実践されているということはよく見聞きするところです。
税金を減らす
まずは事業を軌道に乗せて、利益が出るようにする。そこから、税金が発生していく段階になって初めて、税金を減らすということを考えることになります。
税金を減らすというと、何か魔法なような秘策があるのではと思われることもありますが、なかなかそう上手くはいきません。
上図で言えば、税金を減らすためには、
①利益を減らす
②税金を減らす
大きく2パターンになります。
「①利益を減らす」はよくある話で、収入を減らすか費用を増やすか、というところになります。収入を減らそうとするケースはあまりないので、費用を増やすこととなり、経費か経費でないかのような話が出て来ることになります。
費用を増やすためには、往々にして支出を伴うものが多いので、税金は減ったけど、お金がそれ以上に減ってしまうということは、よくよく認識しておく必要があります。
その辺りは、事業に関する資金状況によって、どこまで支払が出来るかのバランスを把握していくことが重要となります。
「②税金を減らす」については、その時々の税制によって、利用出来るかは変わってきたりすることになります。
人件費や設備投資など、事業に必要なもので、結果的に支出を伴うものであっても、その金額に応じて税額控除という形で税金を直接減らすことが出来る場合もあります。
この辺りは適用要件の判定や金額の算定など複雑なところもあるので、税理士等専門家に相談するのも一つの方法です。
この税額控除についても、利益があって、税金が発生していることが前提の場合が多いので、まずは段階を踏むことが必要となります。
おわりに
経営者の方の状況は様々で、他の方に有用なことが自分に当てはまらないことは多々あります。大切なのは、現状を客観的に把握し、それぞれの状況・ステージに合わせて、対策を講じていくことなのだと思います。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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