乙欄でも扶養人数が源泉所得税の徴収税額に影響する場合
毎月の給与計算において、源泉所得税の徴収税額は、基本的には「給与所得の源泉徴収税額表」(以下これらを「税額表」といいます。)を元にして算定します。最近では、安価な給与計算ソフトやクラウドシステムも出て来ており、税額表を見て確認する機会は減ってきているかもしれません。
詳細な税額を求めることを論点とはしていないため、「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例」は省略して、税額表を前提としてお話を進めていきます。
1か所のみから給与の支払いがある場合には、税額表の「甲欄」、2カ所以上から給与の支払いを受けている場合には、主たる給与は税額表の「甲欄」、それ以外の給与は税額表の「乙欄」の税額を使用して計算するということが一般的です。
今回は、基本的なことは出来るだけ簡素にして、乙欄で控除する場合の注意点をまとめてみました。何かの参考になれば幸いです。
平成31年4月1日現在法令等に基づき、記載しております。
給与所得の源泉徴収税額表
給与等を支払うときに源泉徴収をする所得税及び復興特別所得税の額は、税額表を使って求めます。
この税額表は、給与、賞与の別、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無及び給与等の支給方法に応じて使用します。
今回は説明上、月額表で説明していきます。
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与については「甲欄」を、その他の人に支払う給与については「乙欄」を使って税額を求めます。
甲欄と乙欄の税額の算定
ざっくり言えば、給与の総支給額から通勤手当を除き、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)を控除した後の金額を上記の税額表にあてはめて、税額を算定することとなります。
算定方法は、国税庁が出している手引きを参照すると、以下のとおりです。
国税庁のホームページより
乙欄適用時の注意点
ここまでの考え方を踏まえると、「乙欄」は1列しかないため、扶養人数は関係ないように見えてしまいます。
しかしながら、2か所以上から給与を受け取っている方でも、1年間の給与総額が所得税がかからない範囲の金額となる場合があります。
特に控除対象となる扶養親族等がいる場合には、所得税がかからない所得金額は大きくなりますので、単純に乙欄で源泉所得税を計算すると、確定申告で還付されるとはいえ、毎月の給与から多めの所得税が引かれてしまいます。
乙欄でも、扶養人数によって源泉所得税の金額に反映させるためには、「従たる給与についての扶養控除等の(異動)申告」の提出があれば可能です。
具体的な手続きについては、国税庁の書きページをご参照下さい。
従たる給与についての扶養控除等の(異動)申告
実際の計算方法としては、
「乙欄」で求めた税額から次の金額を差し引く。
(1) 月額表を使う場合 この申告書に記載された控除対象扶養親族など一人につき1,610円
(2) 日額表を使う場合 この申告書に記載された控除対象扶養親族など一人につき50円
となります。
税額表の末尾の(備考)欄にも記載されています。
最後に
毎月の給与計算については、システムの使用が多くなってきて、普段はあまり意識しない項目になるかなと思います。
お話としては、難しいとか全く知らない知識というわけではないですが、定期的に見直しを行っておきたい項目です。
結局は確定申告で帳尻が合うので、大きな問題とはならないかなと思いますが、こういった小さな知識の積み重ねが信頼へと繋がると信じて、日々精進していきたいなと思います。
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この記事を書いている人
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