納税が困難な場合の納税猶予のひとつの考え方

2020年2月以降から新型コロナウィルス感染症の影響により業績の悪化が続く事業者の方も多くいらっしゃると思います。特にそれまでは好調で利益が出ていたのに、急速に売上が減少し、4月以降に決算を迎える法人であれば、利益が出ていて、法人税等の納税資金確保が難しい状況になっていることも考えられます。

今回は、国税についての納税猶予の制度を紹介しながら、その使い方についてひとつの考え方をまとめてみました。

これらの情報は、2020年8月26日現在の状況となりますので、最新情報は、リンク先の情報等をご確認されますようご留意ください。

国税における従来の納税猶予制度の概要

国税については、資金繰りの悪化などにより期限内の納付が難しい場合には、納税猶予制度があります。
猶予制度には、
 ①換価の猶予
 ②納税の猶予
の2つがあります。

新型コロナウィルス感染症の影響により納税が困難となる方のために、特例として新たに
 ③納税の猶予の特例(特例猶予)
が創設されました。

国税庁ホームページ
新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ

①換価の猶予は、ざっくりと言えば、通常の事業運営の中で、手許に納税資金がなく、一括で納税が困難な場合に納付期限を延長してもらう申請というイメージです。

国税ホームページ
換価の猶予の申請手続

②納税の猶予は、ざっくりと言えば、災害など外的要因により事業活動が停滞し、手許に納税資金がなく、一括で納税が困難な場合に納付期限を延長するというイメージです。

①換価の猶予・②納税の猶予については、担保の提供や財産状況の明細など実態に即した書類が必要であったり、よっぽどの事情がない限りは猶予を受けるためのハードルは高いという印象です。

そのため、新型コロナウィルス感染症の影響による納税の猶予については、特例という形を取ったとも考えられます。
③納税の猶予の特例(特例猶予)については、ざっくり言うと、①換価の猶予・②納税の猶予に比べて、売上減少要件や他の社会保険料の納税猶予を受けていれば、添付資料を省略出来たりなど、ハードルは少し下がるというイメージです。

国税庁ホームページ
新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ

特例猶予制度の申請について

③納税の猶予の特例(特例猶予)については、ハードルが少し下がるとはいえ、納付期限までに一括で支払うことが出来ないという証明は書類上で示す必要があります。

国税ホームページ
納税の猶予申請書(特例猶予用)の記載方法(PDF/1,245KB)

申請書の裏面では、現預金残高と今後の見通しを記載する必要があり、法人税等であれば、きちんと対応するために、決算書との整合性も加味する必要があると考えられます。

延滞税のインパクトと借入資金

きちんと資金繰りの見通しを立てて、納税が出来るタイミングを考えて、納税猶予の申請を行うことが一番いいとは思います。
しかしながら、見通しとしては納税出来るとしても、一時の納税ではなく分割で毎月払うことで資金繰りを安定させたいということもあるかもしれません。

実務上は、通常時でも納税の分割は、税務署で受け付けており、1年以上など長い期間に及ばなければ、延滞税を支払うことで分割することは可能です。
例えば、100万円の法人税の納付を納期限後6か月後に支払うという場合には、延滞税はトータルで3万円程です。毎月分割で支払うことにすればもう少し下がります。これが高いと思うか安いと思うかですが、手間暇掛けて、申請書作成することに比べれば、それ程高くはないと考えることもできるかもしれません。

また新型コロナウィルス感染症に対する支援策としての特別融資では、元本据置期間や実質無利子の期間が設けられていたりするので、納税資金についても合わせて調達しておけば、延滞税や無利子での支払いも可能な場合もあります。

納税については、猶予や納付期限の延長などの措置はありますが、納税自体をなかったことには出来ません。
そう考えると、先延ばしにすることだけが選択肢ではないでしょう。

おわりに

一括で納税出来ないから、猶予申請出来ないかというご相談を受けることがあります。納税を猶予するという考え方ももちろん選択肢のひとつとして検討すべきですが、他の方法についても合わせて検討することも大事かなと思います。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)

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