給与を支払うことの責任

9月は自分の誕生日と結婚記念日がある月なので、元々思い入れがある月ですが、昨年2019年には税理士として独立開業する準備をしていたこともあり、更に思い入れが強くなる月になりそうです。

スマホの写真アプリなどの機能で、1年前の今日というテーマで関連する写真が表示されたり、1年前とはいえ何だか懐かしいような感覚になっています。独立当初にはどういう事務所としていくのかということをぼんやりと考えていたこともありますが、実際に日々の業務を進めていく中で、自然と考え方が固まってきたり、変化してきている部分もあります。

今回は、その中でも事務所として人を雇うのかということについて、思うところを書いてみます。

ひとり税理士という考え方

税理士として独立開業を本格的に考え始めたときには、まずは情報収集として、ネットで「税理士 独立 開業」という風な感じで検索していました。その中で、どういったきっかけだったかは忘れてしまったのですが、とても影響を受けた本に出会いました。


一般企業から税理士事務所・税理士法人で勤務してきた中で、何かしら同僚・後輩・上司など社内の人と関わりながら仕事をしてきた自分にとっては、大袈裟かもしれませんが、衝撃的なものでした。

特に職場での人間関係に悩んでいたなどはなかったのですが、そんな私でも影響を受けたぐらいですから、こういった社内の人間関係などで税理士業界に嫌気がさしてしまっている方にとっては、ひとつの生き方として救いになるのではないかと思えました。

内容については、興味がある方は実際に読むことをお勧めしますが、一部を切り取って簡単に言えば、「ひとり税理士」という言葉のとおり如何に人を雇わずにひとりで仕事をしていくか、ということなのかなと理解しています。

この本に出会うまでは、税理士として独立開業するということは、顧問先の数に応じて人を雇用しながら、事務所を拡大させていく、という一択の考え方しか頭になかったのですが、別の生き方もあるのだなと目の前が開けたような感覚でした。

著者である税理士の井ノ上陽一さんは、税理士業だけでなく、出版やセミナーなどの情報発信もされていて、ちょうどその年の夏に大阪でセミナーをされるということだったので、早速申込みました。そこから、ひとり税理士という選択肢も視野に入れながら、開業の準備を進めていきました。

ここから、ひとり税理士という世界に興味を持って、様々な情報に触れるようになり、他にもひとり税理士として活動されている方々のセミナーを受けたり、本やブログを読みながら、今でも日々刺激を受けています。

この本で紹介されている税理士の方のセミナーを受けたりすることもあります。もちろん関西以外で活動されている方もいらっしゃいますが、今ではオンラインセミナーにも対応されていることが多いので、気兼ねなくお話をお聞きすることができます。

誰かに雇われたことで今の自分がある

ひとり税理士という生き方に共感する一方で、人を雇わないということに少し違和感もありました。それは、決してひとり税理士という考え方を否定したり、難癖を付けるということではありません。そんなつもりは全くないので、敢えて強めに書いておきます。ひとり税理士という生き方があることを知って、開業に向かって前向きな気持ちで進むことが出来たのですから。

それでは、違和感とは何だったのか。それは、自分が誰かに雇われることで、社会に出て、紆余曲折を経ながら、税理士を目指すようになり、資格取得まで辿りつけたのに、そういった機会がこれから減ってしまうのではという心配だったのかもしれません。

もちろん、どれほど影響力がある方であっても、ひとり税理士という考え方が浸透して、税理士業界から雇用がなくなるということはないでしょう。むしろ、自分に合わないところで我慢しながら働いていくしかなかった人にとっては、救いとなることの方が多いかもしれません。

それでも、税理士業界で働いていくための間口を広げるために、自分も何か出来ることはないのかなと思ってしまいます。それ程長く何十年と税理士業界にいるわけではありませんが、初めて働く事務所の環境によって、業界自体から離れてしまうということを見聞きしている中で、何だかもったいないという気持ちがあるからなのかもしれません。

雇うというよりは依頼する

開業してすぐであれば、業務量自体はそれほどあるわけではなかったのですが、以前から担当させていただいている顧客への対応については、最初からこれまでと同様のサービス提供を行うことが前提となります。しかしながら、そのための環境整備が最初は上手くいかず、人手を必要とすることになりました。

結果的には、期間限定で入力処理などをお願いすることになりました。もちろん、勤務していた時から、業務分担として仕事をお願いすることはありましたが、その時とは感覚が全然違っていました。

それは対価を伴う依頼であるということ。給与という形ではありますが、お金を払って仕事を依頼することになります。そうすると、仕事としてやり易いという部分も出て来ました。依頼する仕事の範囲を明確にしているということもありますが、こちらの求めているレベルまで達していない場合には、遠慮なくストレートに伝えることが出来るようになりました。

もちろん、何もなくてもズバズバと相手にストレートに伝えたり、時には叱咤出来る人には伝わりにくいかもしれませんが、この点は大きいものでした。何でもかんでも、仕事だからといって、相手の事情も考慮せずに踏み込んでいくのは違うかなという認識があったので、余計にそう思ったのかもしれません。

そこから、人を雇うというよりは、仕事を依頼するという形の雇用が出来ないかということを模索するようになりました。どちらかというと毎日色んな仕事をお願いするというよりは、毎月決められた仕事を、自分の都合に合わした時間で行ってもらうということを目指しています。

多様な働き方が選択できるようになってきた世の中で、最先端を目指してなど偉そうなことは言えません。ただ、毎日職場に出社して、何時から何時まで勤務してという働き方が難しいという場合でも、別の働き方が選択できるように、その働く意欲・能力を活かせる受け皿を提供していきたいなという思いがあります。

人に仕事を振る前提にしてしまうと、効率化のスピードが鈍化してしまうこともあります。自分で直接処理しなければ、その処理の過程を意識することは少ないかもしれません。しかしながら、業務範囲を明確にして依頼を行い、その業務に対して給与を支払うことでお互いに責任を意識し続けることができるのではないかと思っています。

おわりに

生き方といえば、色んな生き方があります。これしかないという盲目的な部分も時には必要ですが、出来るだけ広い視野は持っておきたいものです。それがまた新たな考え方を生み出しながら、誰かの救いとなることになればいいなと思います。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)

大阪市福島区を拠点に活動中。
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