自動化は自分でコントロール出来るところから始める

会計税務の世界にも、自動化の波は着々とやってきています。クラウド会計導入の目玉として、通帳やクレジットカード明細データの取込みだけでなく、自動で仕訳処理を行うなどの機能があります。

画期的でとても便利な機能ですが、なかなか導入に踏み切れないという場合もまだまだあるようです。
今回は、会計処理の自動化への取っ掛かりとしての考え方についてまとめてみました。そんなに深く考えずに、ちょっとやってみようと思っていただければ幸いです。

会計を自動化するイメージ

私自身は、クラウド会計を導入すれば、会計を自動化出来ます!ということを聞いた時に、率直にすごい時代が来たなとワクワクしました。

私が社会人になった頃は、パソコンが普及し始めた頃でしたが、まだまだ紙伝票が残っていたり、オフコンなど伝票をシステム入力はしていても、紙で印刷して、ハンコを押して、上司に回すというような処理をしていました。

システム化されているというよりも、手書きの処理を一部システムで補っているようなイメージです。それでも、学生時代にコンピューターに触れる機会がほとんどなかったので、ものすごくハイテクだなと感動していたことを覚えています。

その当時は、極端に言えば、別々の資料に同じ数字を入力して、別々に集計して、照合してチェックする、というようなことも業務の一つとして行っていました。毎月の締め後に、販売システムから帳票を出力する操作を行い、大量の紙が印刷されるのを待って、両手で抱えながら、デスクに戻り、他の資料との照合を行う。チェックした後は、決められたファイルに綴じて、決められた保管場所にしまっておく。

必要となれば、その紙の資料を引っ張り出してきて、期間や勘定科目などから当たりをつけて、資料をめくりながら、該当部分を探し出すという作業を繰り返します。

こうした背景があるので、会計の自動化と聞いた時には、期待してしまうのは当たり前かもしれません。イメージは、パソコンを開けば、データが揃っていて、微修正を行うだけで会計が完結している。出てきた数字を検討するところから始められる。

全てがその通りではなくても、それに近いものだったらいいなと思っていました。

指示・管理は必要

当たり前と言われればそれまでですが、何もせずに自動的に会計が完結出来るということはありません。クラウド会計で銀行データを取り込むとしても、まずはどの銀行データを取り込むのかの指示が必要となりますし、どこまで取り込めているのかの管理は最低限必要となります。

そういった基本的な初期設定は必要なものとして除いて考えるとしても、自動化を実現するというのはまだまだハードルが高いです。AI機能を搭載していると、過去に行った処理から学んで勘定科目を推定したり、あらかじめこういった場合にはこうするという登録をしておけば、ある程度は自動的に処理出来る部分はあります。

例えば、通帳データに、

・・・
2/2 3,000円 デンワダイ
・・・

と記帳されている場合、前月までに

1/2 2,500円 デンワダイ

1/2 通信費 / 預金 2,500円 電話代

という処理をしていれば、

2/2 3,000円 デンワダイ

2/2 通信費 / 預金 3,000円 電話代

と自動的に処理することは可能です。あらかじめ「デンワダイ」の場合は「通信費」と登録しておくことも出来ます。

最初から自動化とはいきませんが、こうした指示・管理をしておくことで自動化させていくことが出来ます。

勝手にはやってくれないけれど

こうやって書くと、そんな簡単な話ばかりではないというご意見もあるかと思います。

例えば、個人事業主で自宅と事務所の電話の契約を一緒にしている場合、同じ通帳からの引落としている場合もあるでしょう。
その場合、

・・・
2/2 3,000円 デンワダイ
2/2 3,000円 デンワダイ
・・・

という明細になります。上は事業用、下は自宅用なので、事業用だけを経費化することになります。

人が処理する場合、これは事務所用だけ「通信費」にすると思いながら処理するか、月次処理のマニュアルのようなものに注意書きとして書いておくことで、区別して処理することが出来ます。

2/2 通信費 / 預金 3,000円 電話代 事務所用
2/2 事業主貸 / 預金 3,000円 電話代 自宅用

これをクラウド会計で自動的に処理する場合には、そんなに簡単ではありません。どちらかを「通信費」で覚えさせると、翌月からどちらも「通信費」となってしまいます。逆もまた然りです。私が知らないだけで、条件の付け方次第で可能なのかもしれませんが、余計な手間暇がかかってしまうのは避けられないでしょう。

こういうことがあるんだったら、結局自分で入力した方が早いという考え方になってしまうのも仕方がありません。しかしながら、全てを自動化する必要はないのかなとも思っています。

例えば、通帳コピーを紙で見ながら、「日付・勘定科目・金額・摘要」を入力しているのならば、入力するというひと手間、間違っていないかをチェックするというひと手間を省くことが出来ます。間違えないように入力しなければという緊張感も軽減出来ます。

月に数百や数千の仕訳があるのならば、その積み重ねは大きなものとなります。元々、自分で一から入力していたのであれば、勘定科目のチェックなど限定的な部分だけであれば、作業効率は格段に上がります。

自動化というと、全自動のようなイメージを抱きがちですが、部分ごとに手動で行っていたことを自動化していき、自分の管理下でコントロールするしていく範囲を広げていくことが効率的な運用を実現する近道なのかなと思います。

おわりに

私がそうなのですが、クラウド会計を使うんだったら、絶対に手動で仕訳を入力しない、と意気込んで始めたのですが、手動な部分は残るものだし、それも徹底して自動化しようとすると、前に進めないということがありました。一部分でも、自動化出来ることを導入すると、欲が出て、じゃあこういう場合はどうかなと思って、調べたりして、少しづつ使い勝手を良くしていけるのかなと思います。


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この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)

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