進捗表・チェックリスト・マニュアルの使い分け

期限が同じで、複数の業務を行うときには、その進捗を管理することで、漏れなく効率的に業務を進めることが必要となります。しかしながら、進捗の管理といっても、どんな形で、どこまで管理していくかは状況に合わせて、変えていくことになります。

今回は、税理士業務の中での所得税の確定申告を例に、その管理方法について、考えてみました。

業務内容をざっくり把握する

所得税の確定申告は、ざっくり言うと、通常2月16日~3月15日に、前年の1月~12月の所得を集計して作成した申告書を提出して、必要な税額を納付する、というものです。

税金が戻ってくる還付申告、申告書の提出方法、納税方法によっては、2月16日以前に申告することも可能であったり、3月15日以降に納付するこが出来たりします。また3月15日が土日の場合は、翌営業日が申告・納付期限となることもあります。

それらの例外を除いて考えると、基本的には、3月15日という期限が設定されます。

2020年は新型コロナウィルス感染症の影響により、この基本となる期限自体が延長されるという事態も生ずることもありましたが、今のところ原則は変わっていない状況です。

税理士業務としては、この所得税の確定申告書の作成・提出というのが主な業務となります。

その過程をもう少し細かく分けて考えると、
①資料の回収
②申告書の作成
③内部チェック
④提出(依頼主への確認等は済)
といったところでしょうか。

単純に言えば、依頼を受けた件数だけ上記の作業が必要となってきます。
数件であれば、カレンダー等に記載するだけで管理することは可能かもしれませんが、ある程度まとまった件数となってくると、期限までに間に合わせるように進捗含めて管理する必要があります。

上記の①~④の内容についての進捗を管理するだけででなく、それぞれの項目についても、もう少し細かく決めておいた方がよい場合があります。資料と言っても、色んな種類があるので、その内容についてリスト化しておくことも必要です。

①資料の回収
 ①-1 源泉徴収票
 ①-2 生命保険料控除証明書
 ・・・


また、ソフトの入力を行って、どことどこの数値を合わすなど、業務の一連の流れが分かるようにしておくことも必要となります。

②申告書の作成
 ②-1 青色申告決算書の作成
 ②-2 所得税申告書に青色申告決算書の所得金額を取り込み
 ・・・


①~④は、進捗表
①-1~は、チェックリスト
②-1~は、マニュアル
というように、大まかに3つの機能を備えたものを用意して運用していく必要があります。

進捗表・チェックリスト・マニュアルをまとめる

進捗表・チェックリスト・マニュアルについて、一つにまとめる場合を考えてみます。

メリットとしては、一つの依頼者につき、一つの表などにまとめることが出来るので、情報が分散化されず、管理がし易いということが挙げられます。

<依頼者 A>
①資料の回収
 ①-1 源泉徴収票
 ②-2 生命保険料控除証明書
 ・・・
②申告書の作成
 ②-1 青色申告決算書の作成
 ②-2 所得税申告書に青色申告決算書の所得金額を取り込み
 ・・・
③内部チェック
 ・・・
④提出(依頼主への確認等は済)
 ・・・

特に、一つの依頼者の申告書を複数人で分担して作成等する場合には、その進捗管理含めて1つのシートにまとめられているので、情報の共有がし易いです。

デメリットとしては、情報量が増えすぎると、見にくくなり、思うように情報の共有が出来ず、非効率になる場合があるということです。

この辺りのさじ加減は難しいところですが、依頼者の件数が多いと全体の進捗の把握もしにくくなるので、件数がそれ程多くなく、基本的には一人で申告書の作成を完結させるような場合に、進捗表・チェックリスト・マニュアルをまとめるのがいいのではと思います。

進捗表・チェックリスト・マニュアルを分ける

進捗表・チェックリスト・マニュアルについて、分けて管理する場合を考えてみます。

メリットとしては、機能を分けて管理できるので、情報がすっきりして見やすくなり、全体の進捗の管理もし易くなります。

<依頼者 A>
①資料の回収
②申告書の作成
③内部チェック
④提出(依頼主への確認等は済)

<依頼者 B>
①資料の回収
②申告書の作成
③内部チェック
④提出(依頼主への確認等は済)
・・・

①資料の回収
<依頼者 A>
 ①-1 源泉徴収票
 ②-2 生命保険料控除証明書
 ・・・
<依頼者 B>
 ①-1 源泉徴収票
 ②-2 生命保険料控除証明書
 ・・・

 ・・・

デメリットとしては、単純に管理する対象が3つに増えるので、それぞれの整合性を保つという別の業務が発生して、管理が煩雑になることが挙げられます。

ただ、進捗表・チェックリスト・マニュアルをそれぞれデータで管理して、データベースとして連携させることが出来れば、上記のデメリットは解消することが出来ます。

まとまった件数があり、複数人で業務を行って行くことが前提となっている場合には、進捗表・チェックリスト・マニュアルを分けるということも必要かと思います。

おわりに

状況に合わせた使い分けについて、ざっくりとまとめてみました。私はどちらの場合も経験したのですが、Web上でなどクラウドでの管理が出来るのであれば、分けて管理する方が使い易いかなという印象です。

一からデータベースを自力で作るとなるとハードルは高いですが、進捗管理などはクラウドで利用できるものがいくつかありますので、それらを導入するというのも有用かなと思います。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)

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