年次決算に向けての準備はどこから
決算は大変なもの。
そんなイメージがあるかもしれません。
もちろん、1年間の総まとめになるので、処理すること自体のボリュームはどうしても多くなってしまうもの。
ただ、準備の仕方によっては、その大変さの度合いは違ってくるものです。
月次決算
毎月の月次決算をする。
そんなの当たり前のことでは?と思われるかもしれませんが、年次決算に向けての準備としては、まず取り掛かるべきことの一つです。
年次決算は、1年分なので12ヶ月分。
月次決算は、毎月であれば1ヶ月分。
単純計算で考えれば、月次決算は年次決算の1/12のボリュームです。
もちろん、そんな単純に割り切れないところはありますが、年次決算よりも月次決算の方が手間暇が少なくなることは間違いありません。
月次決算を年次決算に向けた準備と考えれば、その重要性が理解し易いかもしれません。
それでは、どれぐらい厳密に月次決算を行うべきか。
厳密というのは、税務会計処理の方法のことです。
例えば、どこまで厳密に発生主義で処理するのか。
7月の月次決算で、8月に支払った経費10は7月分の経費のため、
7/31 消耗品費 / 未払金 10
とするのが原則です。
これが、月の売上高が1,000,000で利益が500,000の規模であれば、どうするか。
月次決算においては、利益が10ズレても大勢に影響はないとも考えられるでしょう。
それよりも、早く損益状況などを把握する方が先決。
この辺りの線引きは難しいところですが、ある程度は基準を設けておくのも一つの方法です。
月の売上高の5%未満の金額であれば、現金主義で処理する。
減価償却費、給与など特定の項目を決めて、発生主義で処理する。
月次決算はあくまで準備なので、年次決算の時に再度内容等を確認する必要はあります。
ただ、一から仕訳を入力していくことを考えれば、一度処理された内容を確認する方が圧倒的に手間暇が掛からないことは明らかです。
予測
月次決算が毎月できるようになれば、それだけ実績が積み上がっていくことになります。
そのまま、年次決算まで実績を積み上げていくのも、準備にはなるのですが、先のことを見越しておくことも有用です。
半期が過ぎて、この調子で進めば、年次決算でどんな処理が必要になるか。
まずは、予測を立てる。
上半期の実績を元に、下半期はどうなるか。
未来のことは誰にも分からないので、分かるところからで問題ありません。
ある程度の予測が出来れば、そこから納税予測などに繋げることが出来ます。
予測のタイミングとしては、最低限上半期が終わった段階で一度立てておきたいところです。
あとは、決算月までにもう一度見直す。
7月決算であれば、7月中に8月~6月までの11ヵ月の実績と7月の1ヵ月の予測で、年次決算の予測が出来れば理想でしょう。
そこまで行かなくても、出来るだけ直近の実績を積み上げておく方が、次項の対策にも繋がっていくものです。
対策
上半期や決算月までに予測が出来たとしても、そのまま年次決算を迎えるというのでは、せっかくの予測が活かせなくなってしまいます。
予測に基づいて、何か対策が出来ないか。
上半期の実績を元にして、このまま予測どおりに進んだとして、現状の税制などで適用出来そうなものはないか。
その時々によって、適用出来る税制は変わってくるので、毎年確認しておく必要があります。
例えば、上記の記事にある賃上げ促進税制。
ざっくり言えば、支払った給与等の金額が前期よりも増加していて、一定の条件を満たせば、その増加した金額の最大40%を税金から引けるというもの。
税金が減るなら給与を増やそう、という単純なものではないですが、そうした考え方が出来るというのは、今期の労務管理に多少なりとも影響するものです。
教育訓練費の増加要件であれば、税額控除を視野に入れて、積極的に人材教育に投資することを選択することが出来ます。
こうした判断が出来るのも、予測があって、税制の適用が出来る見込みがあるから。
上記の例の場合であれば、前期よりも支払った給与等の金額が減少していれば、適用出来ません。
実際の給与等の支払額がどうなるかは分かりませんが、予測で明らかに給与等の支払額が増加する見込みであれば、積極的に対策を進めることも出来るでしょう。
反対に、明らかに減少する見込みであれば、適用しないことを前提に話を進めることが出来ます。
対策と言うと、節税というイメージがあるかもしれませんが、もちろんそれだけではありません。
納税予測が分かれば、そこから資金繰りや翌期の投資計画にも繋がっていく。
過去から現在、未来へと事業は続いていくと考えれば、期間を区切って、実績・予測・対策を繰り返していくことが一番確実なのかなと思っています。
おわりに
決算は年1回ではありますが、その準備の仕方には色んな方法があります。
自分に合った方法を模索しておくのが一番の近道かなと思っています。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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