「会社の経費にならない」の意味合い
「これは経費で落ちません!」
以前、印象的なフレーズが気になって観ていたドラマのタイトルです。
NHKホームページ
これは経費で落ちません!
ちょうど税理士として独立開業する年に放送されていたドラマで、以前の職場で退職の挨拶をする時に、このドラマについて触れたのでよく覚えています。
このドラマ自体は会社内での経費の判断が主になっていますが、「会社の経費にならない」場合というのはいくつかの状況が想定されます。
そもそも支払っていない
当たり前の話かもしれませんが、そもそも会社からお金を支払っていないものは、会社の経費にはなりません。
そんなことがあるのか?と思われるかもしれませんが、たまに見聞きすることがあります。
経費にするためには、領収書をもらわなければならない。
事業をされている方とお話ししていると、たまにお聞きするお話です。
会計の後には必ず領収書をもらっている。
明細が書かれたレシートではなく、領収書を発行してもらう。
間違っているわけではありませんが、必要な情報が盛り込まれているかは確認しておきたいところです。
この領収書をもらっておくということ自体は必要なことも多いですが、
支払う → 領収書をもらう → 経費
という考えが行き過ぎてしまうと、
領収書 = 経費
となってしまい、領収書を用意すれば経費になる、という考え方になってしまうことがあるようです。
金額が書かれていない領収書をもらう
領収書を購入する
拾った領収書を集める
・・・
どこまでが本当かは分かりませんが、色んな方法が考えられます。
しかしながら、会社からの支払がなければ、経費にはなりません。
もちろん、会社の経費にした時と支払のタイミングはズレても問題ありません。
7月に発生した経費を8月に支払ったとして、7月の経費としていることは問題ありません。
8月に会社からお金の支払があるので。
個人が立替えていた場合も同様です。
個人で支払ったタイミングで会社の経費としていても、後日その立替金を精算すれば会社からお金を支払ったことと同様です。
もしかしたら、会社の経営者の方などで、個人で支払って、後日の精算をした覚えがないという場合もあるかもしれません。
その場合でも、会社の経費となっているのであれば、
個人 → 会社
個人としては、会社にお金を貸している。
会社としては、個人からお金を借りている。
という経理処理がされているはずです。
仕訳としては、例えばこのような処理。
経費 / 役員借入金 XXX
会社としては、借入金があるので、返済の必要があります。
そう考えれば、後日会社から個人に返済された時に、会社からお金が支払われたということが出来ます。
会社に関係ない支払である
それでは、会社からお金が支払われているのであれば、会社の経費になるのか。
そういうわけでもありません。
そもそも、会社に関係ない支払であれば、会社の経費とはなりません。
冒頭で取り上げたドラマ「これは経費で落ちません!」がまさにその一例です。
会社で決められたルールに従い、経費で落ちるかどうかを判断する。
要するに、会社のお金を使うかどうかを決めるということ。
ほとんどの場合、個人で立替えた領収書が精算できるかどうかという話になることが多いかなと。
このタクシー代の領収書は業務に必要なものなのか。
この会食の領収書は個人的なものが含まれていないか。
・・・
会社によって判断基準は変わってくるものです。
でも、会社の経費で落ちるかどうかというのは、個人にとっては重要な問題で、経費で落ちなければ自腹で支払うことになります。
個人の立替の精算であれば、会社に関係ない支払が先にあるということはあまりないもかしれませんが、支払が先にあったとしても、会社の経費になるわけではありません。
税金計算上の経費にはならない
ここまで、会社の経費という言い方をしてきましたが、会社の経費の考え方には2通りあります。
一つは、会計上の経費の考え方。
もう少し具体的にすれば、売上原価や販売費及び一般管理費など。
そこには、会社の方針も入っているので、その幅は広めです。
前項までに取り上げた「会社の経費」に近い考え方になります。
もう一つは、税金計算上の経費の考え方。
税法では、課税の公平性の観点などから、会社の経費に出来る範囲がある程度限定されています。
会社においては、法人税の範疇にあり、経費を損金という考え方で捉えていきます。
そうすると、会計上は経費になるが、税金計算上では損金(経費)にならないものが出て来ます。
会計上の利益が下記のようになっていたとして。
売上 1,000
原価 300
経費 500
税引前利益 200
例えば、経費200について、会計上は会社の経費になるが、税金計算上は損金(経費)にはならない場合。
その場合の損益計算書はどうなるのか?
売上 1,000
原価 300
経費 500
税引前利益 200
法人税等 60
当期利益 140
基本的には損益計算書は会計上のものをベースにしているので、税金計算上の損金(経費)によって、「経費」の金額が変わるわけではありません。
変わるのは、「法人税等」を計算する時の所得(利益)で、影響があるのはこの部分になります。
そのため、税金計算上の経費にならないとしても、会社からの支払がなかったことにはならず、その情報は財務諸表等に反映されたままになります。
せっかく会社からの支払があるのに、税金計算に反映されないのは損ではないか。
そう思われるかもしれませんが、あくまで税金の負担は会社運営の一部の検討項目であり、会社全体として経費のあり方を考える必要があるものです。
おわりに
経費にならないですか?という質問は、どの意味合いかというのは確認しておきたいところです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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