自動と手動のリスクを比較して考える
税理士業界だけではないですが、処理の自動化というのは重要なポイントの一つになりつつあります。
全てが自動化されれば、処理もスムーズでミスもなくなる。
そうなるのが理想ではありますが、なかなか手動の部分はなくならないものです。
ミスが起こる時
先日、税務署に提出した届出の処理結果の通知がなかなか来ないということがありました。
通常は遅くとも1か月以内には通知が来るというもの。
それが1ヵ月半経っても、通知が来ない。
これはおかしいと思って、税務署に問合せしてみました。
すると、税務署側の手違いで通知が出せていなかった、とのこと。
その後、すぐに通知がありました。
今回の処理を簡略化すると、
①届出書を作成
↓
②税務署に提出
↓
③税務署側で処理
↓
④届出者に通知
という流れです。
処理方法を追記すると、
①届出書を作成(紙)
↓
②税務署に提出(郵送)
↓
③税務署側で処理(紙)
↓
④届出者に通知(e-Tax)
となります。
おそらく、③までは期日通りに実施されていて、③→④のどこかでミスが起こったということでしょう。
もしかしたら、③→④の税務署内の処理を手動で実施するという工程を単純に忘れていたということかもしれません。
本当のところは分らないので、あくまで想像ですが。
ただ、ここでは詳細な原因を追究するというのが目的ではなく、ミスが起こったという事実が重要なのかなと。
こうしたミスというのは、手動の処理がある限り、起こり得るものです。
単純ミスをしないようにすれば良い、と言えばそれまでですが、単純作業であればあるほど、1回のミスが目立ってしまうものです。
それでは、③→④への工程で、チェックするという工程があればミスを防げるのか。
ある程度はそれでカバー出来ると思いますが、チェックするのを忘れるというリスクは残ります。
おそらく、今回の場合もそうしたチェックの工程は何らかあっただろうと想像します。
そうしたミスを防ぐために、どうしたらいいか。
今であれば、手動を自動に変えるという方法が好まれるかもしれません。
どこまで自動化するのか
上記のケースで、自動化の工程を入れるとしたら、
①届出書を作成(e-Tax)
↓
②税務署に提出(e-Tax)
↓
③税務署側で処理(e-Tax)
↓
④届出者に通知(e-Tax)
というイメージでしょうか。
e-Taxは国税の電子申告・納税システムで、ある程度統一されたシステムです。
実際、上記のような処理が可能な手続きもあります。
ただ、一気通貫のような自動化というわけではありません。
一気通貫であれば、①を実施すれば、自動的に②③の処理が行われ、④の通知まで時間差がほとんどなく実施されることになります。
しかしながら、ほとんどの場合、①~④のような手続きはぶつ切りの処理となっているのが現状です。
作成・提出された内容について、手動で確認・チェックして、次の工程に進むか戻すかを手動で決める。
全ての処理がそうなっているわけではないですが、自動化されているようなシステムにいくつか触れていると、そういった印象を受けます。
それでは、これを一気通貫の自動化とするためには、どうしたらよいか。
単純に考えれば、受付する側の確認・チェックをなくすことでしょう。
①の作成段階で、必須項目などについて詳細なチェックをシステム上で実施するようにする。
最初の段階で、内容等に不備がなければ、後は自動で処理を流すだけです。
しかしながら、現実的にはそんな簡単な話ではないというのは周知のとおりです。
最初の段階で、内容を熟知している人ばかりではない。
説明すればいいと言っても、限界があります。
入り口で不備があるものをシステム的に排除しようとすると、そもそもの利用が減ってしまうリスクもあります。
自動と手動の関係性
手動は大変になる、自動はラクになる。
私自身は、元々こうした思考がありました。
今も、その名残があるといえばあります。
自動化されれば、この手間が掛かる作業がなくなるだろうという期待。
紙の資料を見ながら、パソコンでソフトに入力していく。
こうした作業に時間が掛かっているのであれば、その紙の資料をデータでもらって、パソコンでそのデータをコピーして、ソフトにペーストすると時間は短縮されます。
ボリュームが多い処理であれば、その短縮度合いは大きくなります。
すると、その作業に要していた時間がなくなるので、ラクになるともいえます。
それだけで処理が完了するのであれば、確かにそうでしょう。
ただ、ソフトに入力してからの処理がまたあるのであれば、その部分の処理がなくなることはありません。
例えば、会計ソフトに通帳データを取り込む場合。
日付・金額・摘要は自動で入力されますが、勘定科目や摘要の補足説明などは手動で入力することになります。
もちろん、AIなどを利用して、選択する勘定科目や摘要内容を学習させて、自動で入力することが出来る場合もあります。
そうした便利な機能は積極的に使っていくべきでしょう。
ただ、思ったように入力されているかというのは確認しておきたいところです。
ルールを決めたり、方向性を決めるのは、まだまだ人間の判断に寄るところが大きいものです。
正しいことばかりではなく、時には間違った判断がなされることもあります。
ある意味では手動的であって、それは今のところなくなる気配はないようです。
そう考えると、手動のリスクを受け入れつつ、自動を上手く取り入れていくという方が現実的なのかもしれません。
おわりに
手動が悪い!ということを見聞きすると何となくモヤモヤすることがあります。自動の便利さを実感しているからこそ、リスクも考えておきたいところです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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