税理士試験を受けて良かったこと

私自身も数年前までは税理士試験の受験生でした。今の時期は、会計事務所など税理士業界で勤務されている方にとっては、いわゆる繁忙期の真っ只中であり、税理士試験を今年受ける方には勉強とのバランスが難しくなる時期でもあります。
勉強する時間が取れないなど様々な事情がありますが、この時期を踏ん張ってこそ結果につながるのではないかと思います。そんな大変な思いをしながらも税理士試験を受け続けて、今思えば良かったなと思えることをまとめてみました。

結果が残る

毎年受験者数が減ってきているとはいえ、ある程度認知された国家資格であり、その資格を持っているという結果が残ることは良かったなとやはり思います。もちろん資格を取得すれば終わりではなく、これからも日々の勉強は必要ですが、一つの区切りとしての結果が残っているというのは今後の励みにもなります。

今のところ税理士資格には更新制度はないため、一度取得すればずっと保持していることが出来ます。それで満足することはないですが、それをスタートラインとして今後も研鑽を重ねながら、次のステップに進みたいと思えるようになったのも良かったと思える点です。

計画性を持って取り組む姿勢

仕事をする上では計画性を持って取り組んでいくことは当たり前とはいいながら、なかなか思い通りにいかないことが多いです。学生時代には、勉強自体がメインであり、ある程度はカリキュラムに沿った形で授業も進んでいき、今思えば自分で計画を立ててコントロールしていくということは限定的であったのかなと思います。もちろん、私の場合であって、学生時代から先を見据えて計画的に勉強などに取り組んでいる方はいらっしゃると思いますが。

税理士試験の勉強においても、専門学校に申し込んで、そのカリキュラムに乗っかる場合が多いかと思いますが、社会人になってからの勉強は、あくまでメインは仕事であり、良くも悪くも逃げ場があるため、勉強することに強制力はあまり働かないのかなと感じました。ですので、特に授業以外の自主学習については、自分で計画性を持って、継続的に取り組む必要があります。もちろん、どんな勉強をしていけばよいのかの道筋は専門学校などで教えてもらえますが、それを選択し、実践していくのは自分自身なので、先を見据えてコツコツと頑張ることが重要かなと思います。

緊張感を味わう

学生時代は、大袈裟かもしれませんが、自分の進路が人生の全てのように感じていたように思います。視野が狭かったとも言えますが、それだけ一つのことに専念できる環境だったのかなと。ですので、そこで成績が良くない、志望校にはまだ届かないなどの結果が出ると、自分の人生が否定されたように感じてしまい、それこそ必死に緊張感を持って勉強していました。
社会人になっても、もちろん仕事内容によっては、常に緊張感を持って取り組むべきこともありますが、年数を経ていくと、良くも悪くも冷静に業務をこなしていく術を身に付けることが出来て、人生が掛かった緊張感のようなものを味わう機会がなくなってくると感じています。もちろん、常に緊張感を持って仕事をされている方には、失礼な話ですが。

税理士試験の本番当日、試験開始の合図があってから、周りが一斉にカリカリと書き始める中で、手が震えて最初の一文字がなかなか書き出せないということもありました。これまでの勉強してきた期間や応援してもらっていることなどが思い浮かび、この試験でまた結果が出てくることへの怖れのようなものが手の震えに繋がっていたのだと思います。何とかそれを振り切って書き出すことが出来ましたが。そんな状態でも、その科目は無事合格できたので、あのプレッシャーは勉強を積み重ねていたからこそのものなんだと思います。あの感覚は今でも鮮明に覚えています。

複数の事項への対応

自分で選んだ道ですが、税理士試験を本格的に受験しはじめた時には、結婚して3歳の長女ともうすぐ生まれてくる次女が妻のお腹にいる状況でした。家事や子育てについては、自分が出来る範囲でしか協力することが出来ず、妻に大きな負担を抱えさせてしまっていました。少ないですが家族の用事、家の用事、仕事をしながら、税理士試験の勉強も計画的に進めていくというのは、当時は夢中でしんどい状態が普通になっていたので頑張れていましたが、今思うとハードな日々だったなと思います。

試験結果が思うようにならなかった時には、専念していたらどうなっていたかなと頭をよぎることもありましたが、その時も今も思うのは、結婚していなかったり、子供がいなければ、勉強は続かなかっただろうなということ。その時の状況に合わして、複数のことに取り組んでいくというのは、仕事の面でも必要なことでもありますし、そのことに人生の方向性を掛けて取り組めたことは本当に良かったなと思います。自分の性格上、他のものを一旦捨てて、一つのことに専念するという生き方はおそらく出来ないと思うので、これからにも活かせるかなと思います。

小括

税理士業界に転職する前に、簿記論の試験を受けようとして、試験がある8月まで専門学校の授業を受け続けることが出来ず挫折しました。30歳から税理士事務所に転職し、本格的に勉強を始めて、税理士試験に合格するまで8年かかりました。トータルでいうと10年ぐらいでしょうか。早いのか遅いのかは分かりませんし、期間についてはあまり執着はありません。これからは苦労を掛け続けている妻と子供たちに恩返ししつつ、心配を掛けない程度に新しいことにも挑戦していきたいと目論んでいます。


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この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)

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