電子化とデジタル化を使い分ける
先日、税理士会のオンライン研修で、税理士・公認会計士・弁護士 関根稔 先生の「AI・ITと税理士業務」を受講しました。
税理士業がAIに取って代わられるか?というお話自体も理路整然としていて、腑に落ちるものでしたが、小さな項目でサラッと取り上げられていた「電子化とデジタル化は違う」という内容は特に考えさせられるものでした。
自分の理解の確認と今後に活かすための方向性について考えてみました。
電子化とデジタル化の定義
言葉の意味としては、漢字とカタカナの違いで、Google翻訳で英語に訳してみても、どちらも「digital」となるようです。
はっきりとした定義は難しいところですが、この記事ではイメージとして下記のように定義しておきます。
電子化・・・紙などの書類を写真のようにそのままのイメージでデータ化する
デジタル化・・・紙などの書類に書かれた文字・数字等をテキストとしてデータ化する
こうしたイメージを元に、それぞれもう少し具体的に内容を確認してみます。
電子化するということ
電子化の代表としてまず挙げられるのは、写真などの画像データでしょう。
昔は写真といえば、人物や風景などを撮影するものでした。
それが、スマホが普及して手軽に写真が取れるようになり、SNSの活用で手軽に写真を送受信出来るようになると、文字や数値が入った資料などを相手への通知手段としてや保存のために利用することが多くなってきました。
電話やメールなど文章で伝えるのではなく、写真などのイメージで相手に伝える。新しいコミュニケーションの手段とも言えます。
紙などの資料と比較すると、メリットとしては、目の前の情報を文章にするという手間暇が省けるため、手軽に素早く伝達出来ることが挙げられます。
また、紙などのモノ自体を保存する必要がないため、保管場所を節約することが出来たりします。
デジタル化と比較すると、デメリットとしては、数字や文字の情報が大量に含まれていても、あくまで画像などのイメージのため、データを写真のように、そのままでしか再利用出来ません。
もちろん文字などを認識するOCR技術などもありますが、まだまだその品質はバラツキがあるようです。
デジタル化するということ
デジタル化の代表としては、Excelなどの表計算ソフトで利用出来るCSVファイルなどでしょうか。
銀行口座の通帳に記帳すると、文字と数字が印字されますが、インターネットバンキングを利用すると、その文字と数字のデータをCSVファイルなどでダウンロードすることが出来ます。
ネット上で行う手続きなどは、表示された文字や数字の情報をそのままコピーすることも出来ます。
紙などの資料と比較すると、享受できるメリットは電子化と同様になります。
また、電子化の場合と比較すると、その中身の文字や数値を再利用出来るというメリットが挙げられます。
紙などの資料や電子化の場合と比較すると、デメリットとしては、データを再利用出来やすいため、データが改ざんされ易いというところでしょうか。
悪意のあるなしに関わらず、元々のデータが何だったかが分からなくなるということは起こり得ることといえます。
電子化とデジタル化を使い分ける
電子化とデジタル化には、それぞれメリット・デメリットがあるため、その使い分けが必要です。
税務会計の業務で考えてみます。
前項で例示した銀行の通帳であれば、元々は紙の資料に文字や数字が記載されているものになります。
この通帳を事業に利用していて、会計仕訳を会計ソフトに入力している場合。
従来であれば、紙の通帳そのものかそのコピーを見ながら、会計ソフトに「日付・勘定科目・金額・摘要」と入力していきます。
これは通帳をデジタル化しているとも言えます。
こうした業務を効率化していくとなったときには、まずは紙を無くすというのもひとつの方法です。
その際に、電子化するのかデジタル化するのかということを考える必要があります。
電子化する場合には、
保管場所の管理が要らないなどメリットはありますが、結局はデジタル化するための工程が増えてしまうともいえます。
方向性としては、電子化とデジタル化の工程は一つに絞る方が効率的でしょう。
あくまで一例なので、全てのケースに当てはまるわけではないですが、こうした使い分けの意識を持って、データの取扱いを考えてみると、見えてくるのものがあるかもしれません。
おわりに
いきなり紙資料をデジタル化というのが難しければ、電子化→デジタル化という流れも必要な工程ではあります。
あくまで一時的な処置として、直接デジタル化する流れを作っていきたいところではあります。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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