消費税の課税期間を変更するケースの一例
事業を行っていて、消費税の納税義務者である場合には、消費税申告書の提出・納税が必要となります。
消費税の仕組みの概要等については、以前の記事をご参照下さい。
医業・歯科医業における消費税の簡易課税の有利判定
小児科など自由診療収入の原価が大きい場合の消費税の有利判定
その計算の期間については、個人の場合は1~12月、法人の場合は事業年度をベースに、1年間で計算することとなります。
この課税期間については、届出をすることにより短縮することが可能です。
今回は、消費税の課税期間を短縮するケースについて、具体的な数値を含めてまとめてみました。
なお、これらの情報は、2022年8月17日現在の状況となりますので、最新情報は、リンク先の情報等も合わせてご確認されますようご留意ください。
消費税の課税期間を変更する
消費税の仕組みを簡単な図解にすると、下記のようなイメージになります。
通常は1年単位で上記の集計を行い、納付・還付税額を計算することとなります。
この期間を「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出することで変更することが出来ます。
国税庁ホームページ
消費税の届出書について(令和4年1月)(PDF/809KB)
他の期間や1年に戻すときには、最低でも2年間継続した後でなければ、変更することは出来ませんが、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出することで変更することが出来ます。
国税庁ホームページ
消費税の届出書について(令和4年1月)(PDF/809KB)
課税期間の特例を適用すると、今まで1年に1回であった消費税の申告・納付が、3か月ごとなら年4回、1か月ごとなら年12回となります。
事務作業などを含めると手間が増えることになります。
それでも変更するケースはあります。
還付の場合
金額が大きな設備投資などを実施して、預かった消費税よりも支払った消費税の方が多い場合には、消費税が還付されることになります。
本来は、詳細な前提条件等を加味して計算していくものですが、ここではイメージを掴むことに主眼を置いているので、単純化して考えていきます。
上記の例の場合、1年単位で計算すると、「消費税 納付額」がマイナスとなっているため、消費税が還付されることになります。
課税期間末の「X5.07.31」から2ヶ月後の「X5.09.30」が申告・納付期限となりますので、実際に還付されるのはその数ヶ月後というのが一般的です。
これが課税期間の変更で1か月ごとにした場合を考えます。
設備投資を「X4.08」中に行った場合、「X4.08」の支払った消費税の方が多くなり、還付となります。
他の月については、それぞれの月で納付額等は変動することになりますが、上図のように一定の水準で推移したとしても、1年間のトータルの「消費税 納付額」は1年単位で計算した場合と同じ「△2,280」となります。
ただ、「X4.08」の課税期間の申告は、課税期間末の「X4.08.31」から2ヶ月後の「X4.10.31」が申告・納付期限となります。
実際に還付されるのがその数ヶ月後と考えると、1年単位で計算するよりも、1年弱ほど還付の時期が早まることになります。
その後消費税の納付が毎月続くとしても、資金繰りの観点などで考えると、プラス要素があるといえます。
納付の場合
納付の場合には、還付のように消費税が戻ってくるわけではないので、メリットを感じにくいかもしれません。
それでも、1か月ごとや3か月単位で課税期間を区切ることで、1回の申告で納付する消費税額は小さくなります。
こちらも還付の時と同様に、資金繰りの観点などを加味すれば、メリットを感じられる場合があるかもしれません。
この辺りは、申告手続きの回数が増えることによる事務処理量の増加や、税理士等に委託している場合には、追加コストなどを勘案して、それでもメリットがあると感じられる場合には、選択の余地はあるでしょう。
おわりに
消費税の課税期間の短縮については、特殊事情がある場合に利用するイメージがあるかもしれませんが、管理に気を付けておけば利用出来るケースは他にもあったりします。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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