答えを教えるのはダメなのか
年齢を重ねるにつれて、人から色々な質問を受ける機会は増えてきます。それは、職業柄であったり、社内での立ち位置であったり、親としてであったり、状況は様々です。そうは言いながら、自分自身が人から教えてもらう機会もまだまだあります。
今回は、人から教えてもらったり、教えたりするときに答えを提示してもいいのか、ふと疑問に思うことがありましたので、自分自身の考え方をまとめてみました。
自分が教えてもらう場合
自分自身を振り返ってみると、学生時代であれば、まずは学校などで勉強を教えてもらうということが一番に思い浮かびます。基本的には、授業などで概要を学習し、演習を繰り返して、テストでその習熟度を計るという流れになるかと思います。
授業で学んだことをそのまま応用して、スムーズに問題に解答出来ていけばいいですが、なかなかそう上手くいくことはありません。大体は、分からない問題に苦悩しながら、知らぬ間に解答にたどり着いたり、自力では解答にたどり着けないこともあります。
苦悩する時間の長短は別として、自力では無理と判断した段階で、学校の先生や友達など誰かに聞くことになります。その時の気持ちとしては、人によって様々かもしれませんが、私の場合は、答えが出ていない状態を早く脱したいという気持ちが優先されて、早く答えを教えて欲しいとなってしまいがちでした。
今思うとどうしてそう思ってしまったのかは分かりませんが、もしかしたら問題を作成した側のミスでこの問題では答えはでないということがあるのではという疑いを常に持っていたように思います。
それとはまた正反対になりますが、自力で答えにたどり着かないと実力がつかないという考えもあって、答えを教えてもらったら、その問題はダメだったのでまた次こそは自力で解いて実力をつけようとも思っていました。
仕事でサービス提供する場合
仕事の内容にもよりますが、専門的なサービスを提供する際には、その内容についてある程度伝えていくことが必要となります。それは教えるとは少し違うかもしれませんが、こちらから伝えるという意味では、教えると同じようなことかなと思います。
その際には、答えというよりも結論という言い方になるかもしれませんが、答えをはっきりとお伝えすることが重要になります。プレゼンする場合には、答えを示す順序が先か後かなどはあっても、答えを示すということは必須となります。
その答えに達するまでの過程については、極端に言えば、詳細な理解は得られなくても、その答えに納得できるかが重要かなと思います。もちろん答えがひとつではないことが多いですが、複数の答えがあっても、それぞれの答えは明確に示されているべきかなと思います。
人に伝える場合
例えば、会社などで同僚や後輩、部下から業務内容の相談を受けた時、答えを教えてもいいのか。ありきたりな回答をしてしまえば、場合によるということになるでしょう。それはその通りで、否定も出来ません。しかしながら、敢えていうならば、答えが分かっているならばそれは教えていく方がいい場合が多いと思っています。
仕事においては、答えが明確でないことばかりだと言われることが多いですが、答えが明確なことも多々あります。そして、それらの明確な答えを積み上げていくことで、答えのないことに自分なりの答えを見出していくことが出来るのだと思います。
私の過去の経験上だけですが、それ程意味もなく答えを教えないという場面を見聞きすることがありました。大義名分としては、自分で考えないと成長しないからその人のためにならない、自分もそうやって苦労したから今がある、というようなことかと思います。
もちろん間違っているとは思わないのですが、それは今のこの時点ではなくて、この先出てくるもっと悩むべき問題の方がふさわしいのではと思うことがあります。そう多くはないと思いますが、ただ教えるのが面倒くさいなどの自分の都合であるとしか思えないときもあります。
人からすぐ教えてもらうと考える力がつかないということは一理あると思います。ただ、考えるには基礎が必要で、その基礎を積み上げていく段階で不必要に時間を割いていくというのは、下手をするとこれから答えを模索することに出くわす機会を奪うことにもなりかねません。
一つ一つのことに時間を割いて考えていくことが嫌で投げ出すなんて、辛抱が足らないダメな奴だとレッテルを貼ることは簡単です。でも、少なくとも自分自身が試行錯誤してきた中では、そんな時にこそ温かく見守ってくれる人に助けられてきました。今度は自分がそうして温かく見守る番ではないかなと思います。
おわりに
親として子供の勉強の質問に答える機会というのはこれから増えてきそうです。そんなときにどうするべきかを考えることがありました。答えはひとつではないと言いますが、せめて答えがあるものぐらいはスムーズに進めていって、本当に答えを模索することが必要な時に備えておきたいものです。
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この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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