給与計算のひと手間を減らす~概要編~

人を雇用して事業を行っていく際に必要となってくる、主な事務処理としては、毎月の給与計算があげられます。

避けては通れない事務処理であり、給与計算の結果を基にして、関連した処理も多くあるため、そこでのひと手間を減らすことによる全体の事務効率への影響は大きいものです。

今回は、給与計算を基点とした給与関係の処理のひと手間についてのお話になります。

誰が給与計算を行うか

給与計算をする方法としては、
1.自社で行う
2.外部委託する
という大きな括りがあげられます。

そこから更に、

1.自社で行う
 ①事業主が行う
 ②経理担当などの従業員が行う

2.外部委託する
 ①社会保険労務士
 ②税理士
 ③給与計算代行サービス等行う業者など

と分類されるのが一般的です。
どの形態を選択するかは、それぞれの事業者の状況に応じて検討することとなります。一概に、これが一番良いというのはなかなか言い切れるものではありませんが、比較的小規模であったり、スタートしたばかりの場合には、「1.自社で行う」-「①事業主が行う」というのが多いかなという印象です。

事業が順調に推移し、規模が大きくなってきたり、事業主の業務が多忙になってくると、「2.外部委託する」という選択肢を検討することが多いかなと。

外部委託先は、顧問税理士がいる場合には、そこに相談することも多いでしょうし、給与計算を受託していない場合には、提携している社会保険労務士をご紹介されたりすることもあります。あるいは、給与計算代行をサービスとして提供している会社などを運営している場合もあるので、そちらで受託することもあります。

更なる事業拡大で従業員数が100人を超えるなどある程度の規模となってくると、外部委託先も限られてくることもあり、「1.自社で行う」-「②経理担当などの従業員が行う」という段階に入ります。この段階に入ると、給与計算だけでなく、人事労務関係の処理を専任的に行わないといけない状態であり、外部委託しようにも人を雇用するのと同じくらいのコストがかかることが想定されます。

給与計算の方法

給与計算の大まかな流れとしては、

1.出退勤の記録

2.月ごとに労働時間等の集計

3.給与計算

4.給与振込

5.明細配布

となります。

それそれの方法にも時代と共に変化があり、

1.出退勤の記録
 ①紙の出勤簿
 ②紙のタイムカード
 ③Excel等での出退勤記録
 ④社員証などによるタイムレコーダー
 ⑤クラウドシステムによるタイムレコーダー
・・・

2.月ごとに労働時間等の集計
 ①労働時間等を電卓などで集計し、紙で管理
 ②Excel等で打刻記録から労働時間等をPC等で集計
 ③クラウドで打刻されたデータを確認・集計
・・・

3.給与計算
 ①手書きの給与明細
 ②Excel等で作成した給与明細
 ③PCにインストールした給与計算ソフト
 ④クラウド上で行う給与計算システム
・・・

4.給与振込
 ①現金手渡し
 ②銀行振込
・・・
↓5.明細配布
 ①手書き給与明細
 ②Excel等で作成して印刷した明細
 ③システム等から印刷した明細
 ④PDFファイル等にデータ化した明細
 ⑤Web明細
・・・

今でも、手書きの給与明細、現金手渡しというところもあります。それが一概に良いとか悪いということではありません。一つ一つの明細にきちんと向き合い、現金という現物を介すことでその有難みを毎回確認出来るということもあるでしょう。

しかしながら、もしも、事業主にとっても、従業員にとっても、手間が増えているだけ、他のところでカバーするので出来れば効率的な運用が望ましいと思っているならば、手間が少なくなる方法を選択することも必要かと思います。


実際に、正社員1名とパートさん数名の事業者の方で、

1.自社で行う
 ①事業主が行う

を続けておられましたが、

・・・
3.給与計算
 ①手書きの給与明細
 ↓
 ④クラウド上で行う給与計算システム
・・・
5.明細配布
 ①手書き給与明細
 ↓
 ③システム等から印刷した明細

に変更したことで、税額表の確認や雇用保険料率の確認などひと手間が減ったことで、便利になっただけではなく、精神的にも楽になったということもありました。

給与計算のツール

ある程度品質の保証も担保したものとなると、有償での給与計算ソフト等を使うことになるかと思います。
その種別は大まかな区分として、

1.PC等にインストールする給与計算ソフト
 弥生給与、EPSON給与R4、JDL給与・・・
2.Web上で動くクラウド型の給与計算システム
 マネーフォワード給与、freee人事労務、MyKomon楽しい給与計算・・・
が挙げられます。

各種ソフト等でそのターゲットとしている使い方は様々なので、一概に言い切ることは出来ませんが、

1.PC等にインストールする給与計算ソフト
 ・ある程度の規模を超えて、自社で給与計算から年末調整まで行う
 ・給与計算以外の社会保険等の手続きなどの関連機能も必要である
・・・

2.Web上で動くクラウド型の給与計算システム
 ・小規模からある程度の規模まで直感的な操作で分かり易さを重視
 ・給与計算以外の機能は別のシステムと連携させるなど拡張させていく考え方
 ・ソフトを購入するというよりは、毎月使用するという考え方
・・・

というような使い分けが一般的かなと思います。

どちらが優れているかということは一概には分かりにくいところです。ただ、ある事業者にとって、どちらが優れているということはある程度判断出来るものです。


正社員数名、パートさん数名で、年末調整は顧問税理士に委託している場合、給与計算以外にも関連機能が揃った「1.PC等にインストールする給与計算ソフト」というものは必要ないと思われます。そこに上乗せした費用がかかっているのならば、なおさらです。

顧問税理士との月次資料のやりとりでも、印刷した給与明細資料を手渡ししていたり、年末調整のため指定された給与ソフトを使っていても、その給与データをメール等で送付するなどひと手間かかっている場合もあります。

そちらも、「2.Web上で動くクラウド型の給与計算システム」であれば、給与計算の確定という処理をするだけで、顧問税理士側からそのデータを必要な時に見に行くというこということも可能です。印刷して渡すだけでそんなに手間ではない?と思われるかもしれませんが、そういった積み重ねは大きいものです。

あまり気にする必要はないかもしれませんが、顧問税理士側としても、紙で給与明細を預かると、それを給与ソフトに入力し直すという処理が必要となります。それも仕事と言われればその通りですが、入力処理がなくてもいい方法があるのであれば、そこに時間を掛けることはお互いにメリットはないのかなと考えています。

おわりに

給与計算ひとつをとっても、色々な選択肢があります。そこから自分に合ったものを選ぶということが重要となります。その時に、そのツールの謳い文句やキャッチコピーだけで判断して、導入してしまうと、返って手間が増えてしまうことにもなりかねません。

そういった選択を行う際には、専門家に相談することも一つの方法です。先を見据えた処理がある程度見えていることが多いですので、セールスに偏らずより良い選択肢を提示してもらうことも期待できますので。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
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