顧問契約とスポット契約の向き不向き

税理士が提供するサービスとして多くの事務所が採用しているのが顧問契約という形です。一昔前までは、それがメジャーでこれまで税理士の諸先輩方が築いてこられた型のようなものであり、今でも採用している事務所が多いです。

最近では、顧問契約だけに絞らずに、特定のサービスのみを提供するようなスポット契約というものを目にするようになりました。事務所によっては、顧問契約を締結せずに、スポット契約だけで対応されているようなところもあります。

今回は、事業主の方が、税理士に依頼する際に顧問契約かスポット契約かを選ぶときのひとつの考え方についてまとめてみました。

顧問契約とスポット契約の考え方

顧問契約は、ざっくり言えば、税理士が提供するサービスを定常的に受けるための契約のようなものです。税理士と顧問契約を結び、毎月一定の顧問報酬を支払うことで、月次ベースでのチェック・報告、その他税務相談等をすることになります。

音楽や動画配信サービスなどで最近話題となっている、サブスクリプションサービスに近いものがあるかもしれませんが、流石に使い放題というわけにはいかないので、節度と頻度をわきまえてというのが現状です。場合によっては、契約書に税務相談等の回数・時間等の上限を提示しているところもあります。

個人事業主であれば所得税の確定申告など、会社であれば法人税の確定申告などを見据えて、月次ベースでの会計処理などを行っているため、月次のみの顧問契約ということはほとんどなく、申告まで税理士に依頼することが多いです。

スポット契約は、ざっくり言えば、顧問契約に含まれているサービスをバラ売りで契約するようなものです。よくある形態としては、月次ベースの会計処理等はご自身でされて申告書作成のみ依頼する、普段はそれ程ないが必要な時に税務相談を受けたいなどが挙げられます。

現物がある商品のバラ売りと違うところは、提供するサービスを分けることが出来たとしても、単体では完結出来ず、そこに関連・付随するものを一緒に処理する場合があるということです。そうすると、結局顧問契約とあまり変わらないということも往々にしてあります。

顧問契約が向いている

事業主ご自身で、あるいは自社で、会計等の事務処理を行うことに積極的に気持ちが向かない場合には、顧問契約の方が向いていると感じます。事務処理が出来る出来ないというよりも、そこに割く時間を、本業である事業に注力したいと考えられている場合には、出来るだけ手間を省くことも必要かなと思います。

もちろん、経営者として必要な数値の把握や資料の収集などを省くことは出来ませんが。これはあくまで経験則で、全ての経営者の方に当てはまるとは言い切れませんが、御盛業であればある程、数値の把握や事務処理の重要性を認識されている場合が多いかなと。

また、経営の方針として、大々的に拡大することを目指していなくても、常に新しいことや違うことに挑戦していきたいという場合には、定期的に面談を行う機会を利用して、税務的な観点のみならず、資金調達や人員など多角的なところで連携していくことも必要になります。会社の合併・事業譲渡など組織再編に係るサービスなどについては、顧問契約とは別途の契約が必要となる場合もありますが、そこまでではないという場合には顧問契約が有効かなと思います。

考え方にもよりますが、顧問契約のデメリットのようなものを敢えてあげれば、毎月一定額の顧問報酬が発生するため、コスト面では受けたサービスに対して割高と感じる月があるかもしれません。

スポット契約が向いている

顧問契約の場合とは逆に、事業主ご自身で、あるいは自社で、会計等の事務処理を行うことに積極的になれる場合にはスポット契約の方が向いていると感じます。こちらは、出来ているということが前提なので、税理士側の事情として言うならば、求めている水準を超えているということが必要なのかなと。

理想としては、ここまでは自力で出来る、でもこの部分は自力で出来ない、出来るとしても時間がかかるので、税理士に依頼するということになりますが、実際にはその線引きがはっきり出来ないことが多いです。

ですので、新しく起業された場合など、事務処理等の業務が安定していない状況では、スポット契約を行う業務範囲の判断は難しいかもしれません。比較的小規模で始められるフリーランスの方であれば、最初の立ち上げだけスポット契約で集中的に行うということも可能とは思いますが。

最近では、スポットの相談を受けるメニューを掲げておられる税理士の方も増えているので、最初はあまりコストをかけずに、スポット契約から始めて顧問契約に移行してもいいでしょうし、顧問契約で形を作っておいてから、問題なければスポット契約に切り替えるという方法もあるのかなと思います。

おわりに

起業されてある程度の年数を経ている方であれば、疑問に思われることなく顧問契約という場合が多いように感じます。逆に起業したばかりだとコストを抑えたいというご意思もあってか、出来るだけ安くするため、値引きやスポット契約を望まれる方が多いかなと。

経営していく上でコストを抑えるということは重要ですが、必要なコストは迷わず掛けていくでしょう。必要な投資と考えていただけるようにこれからも創意工夫しながらサービス提供していく所存です。


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この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)

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