事業経費の準備資料の考え方
事業をしていると、一定期間の利益を計算するために、事業で得た収入とそこに係る事業経費を集計する必要があります。
特に事業経費については、直接かかった費用を集計するというよりも、お金の流れを把握しながら、漏れなく集計することが重要となります。
今回は、事業経費を集計する際に必要となる準備資料の考え方について、整理してみます。
事業経費の支払いの流れ
事業に必要な支払いを行う際の前後の流れを下記の6パターンに分類してみます。
①支払→領収書
②請求書→支払→領収書
③請求書→支払→支払履歴一覧
④請求書→支払→領収書→支払履歴一覧
⑤支払→支払履歴一覧
⑥支払→領収書→支払履歴一覧
支払の事実を後からでも把握するためには、その記録が必要となります。
基本的には、「領収書」があれば確認出来ますが、通帳のように後から支払いを確認出来る「支払履歴一覧」のような資料があれば、支払いの事実を確認することが出来ます。
「支払履歴一覧」の場合、支払内容までは分からないことが多いので、「領収書」「請求書」などの資料で補足することも必要となります。
「領収書」が必要かどうかの判断基準については、別の記事でも取り上げています。
領収書は別で要る?要らない?の目安
色々な支払い手段を利用されている場合には、どの資料を使ったらいいのか迷うこともあるでしょう。
特に記帳代行を税理士など外部に委託している場合には、事業経費に必要な資料の提示を求められますが、基準が曖昧だと手間取ってしまいます。
そういった場合の例として、支払手段ごとの準備資料のひとつの考え方について挙げてみます。
現金での支払
現金支払の場合には、下記の2パターンが考えられます。
①支払→領収書
この場合、支払の記録は「領収書」しかないため、準備資料は「領収書」になります。内容によっては、補足事項が必要となる場合があります。
領収書は別で要る?要らない?の目安
②請求書→支払→領収書
この場合も、支払の記録は「領収書」しかないため、準備資料として「領収書」は必須です。
「領収書」で支払日・相手先しか分からなくても、「請求書」を準備資料として用意することで内容等を補完することが出来ます。
準備資料としては、「請求書」「領収書」をセットで用意することがベストです。
預金からの支払
預金から支払の場合には、下記の2パターンが考えられます。
③請求書→支払→支払履歴一覧
この場合、支払の記録は通帳など口座明細である「支払履歴一覧」しかないため、準備資料として「支払履歴一覧 」は必須です。通常は、口座の入出金が分かる資料などを提供しているでしょう。
多くの場合、通帳では支払日・相手先しか分からないので、「請求書」を準備資料として用意して内容等を補完することが必要となります。
準備資料としては、「請求書」「 支払履歴一覧 」をセットで用意することがベストです。
④請求書→支払→領収書→支払履歴一覧
この場合、支払の記録は「領収書」と通帳など口座明細である「支払履歴一覧」の2つがあります。
どちらでも支払の記録を確認は出来るのですが、どちらでも良いとしてしまうと、2重計上などが起こる可能性もあるので、統一しておいた方がベターです。
分かり易い方法としては、支払の記録は「支払履歴一覧 」で統一しておくことです。「領収書」は破棄する必要はないですが、混乱しないように分けておきます。
もしも単発での支払いで、通常この口座での支払はあまりないという場合には、「支払履歴一覧」ではなく、「領収書」を支払の記録とする運用でも問題ありません。
多くの場合、通帳では支払日・相手先しか分からないので、「請求書」を準備資料として用意して内容等を補完することが必要となります。
準備資料としては、「請求書」「 支払履歴一覧 」をセットで用意することがベストです。
クレジットカードでの支払
クレジットカードでの支払の場合には、下記の4パターンが考えられます。
③請求書→支払→支払履歴一覧
前項「預金からの支払」と同様になります。「支払履歴一覧」としては、カード利用明細などの資料が該当することになります。
④請求書→支払→領収書→支払履歴一覧
前項「預金からの支払」と同様になります。 「支払履歴一覧」としては、カード利用明細などの資料が該当することになります。
⑤支払→支払履歴一覧
この場合、支払の記録はカード利用明細など「支払履歴一覧」しかないため、準備資料は「支払履歴一覧」になります。内容によっては、補足事項が必要となる場合があります。
⑥支払→領収書→支払履歴一覧
この場合、支払の記録は「領収書」とカード利用明細などの「支払履歴一覧」の2つがあります。
前項「預金での支払」と同様に、どちらでも支払の記録を確認は出来るのですが、どちらでも良いとしてしまうと、2重計上などが起こる可能性もあるので、統一しておいた方がベターです。
前項「預金での支払」の場合には、「支払履歴一覧」で統一することをおススメしていましたが、「クレジットカードでの支払」の場合には、どちらの運用でも一長一短があるので、やり易い方法を選べば問題ありません。
ただ、カード利用明細などの「支払履歴一覧」で統一する場合でも、領収書の保管はしておいた方がベターです。
支払日・相手先しか分からない場合が多いので、内容などの補足事項が必要となります。
QRコード決済などその他キャッシュレス決済での支払
QRコード決済などその他キャッシュレス決済での支払の場合には、6パターン全てが考えられます。
①支払→領収書
②請求書→支払→領収書
③請求書→支払→支払履歴一覧
④請求書→支払→領収書→支払履歴一覧
⑤支払→支払履歴一覧
⑥支払→領収書→支払履歴一覧
決済手段の多様化で、選択肢は増えましたが、準備資料としては困るところではあります。
PayPayなどのQRコード決済の場合、スマホで利用することを前提としているため、「支払履歴一覧」を資料として出力することが不向きだったりします。画面で支払履歴を確認するこは出来るのですが。
そういった場合には、「現金での支払」と同様に、
①支払→領収書
として管理する方が効率的かもしれません。
この辺りは、今後「支払履歴一覧」の出力のし易さがネックになるかなと思います。
おわりに
資料の準備を依頼する際に、どこまで必要かということはよく聞かれるところでもあります。
クレジットカード決済の際には、領収書・カード利用明細控え・カード利用明細一覧と3種類の資料が混在することになり、きちんとお伝えしていないと必要な資料がいただけないことも。
判断するには、基準が必要となるので、その辺りの指針はきちんとお伝えしておきたいところです。
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この記事を書いている人
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