会計・税務ソフトを選ぶ時に考えたこと
税理士として独立開業するにあたって、考えることは色々とありますが、税理士業で多く利用することになる会計・税務ソフトを選ぶことも重要な選択となります。
私自身もまだまだ開業して2年程なので、事務所の方向性など模索している最中ではありますが、最近立て続けに、開業する際の会計・税務ソフトの選び方についてお話をする機会がありました。
自分の時はどうだったかを振り返りつつ、その時に考えていたことをまとめてみます。
最初に想定する事務所の方向性
会計・税務ソフトを選ぶ時には、色々な要素を加味して考えるものですが、ある程度は事務所の方向性を決めておかないと軌道修正が難しくなる場合もあります。
最初なので、そんな大仰な事業計画という程のものでなくても、こういったスタイルで進めていきたいというところでしょうか。
自分一人で事務処理含めて全て行うのか、人を雇って手伝ってもらうのか。
事務所の規模を大きくしていきたいのか、一定程度で抑えたいのか。
顧問業務をメインとするのか、スポット業務にも注力していくのか。
記帳代行も業務として受けるのか、自計化を推進するのか。
・・・
他にも方向性を考えるにあたり、決めておくことがあるとは思いますが、これぐらいの内容はぼんやりとでも意識しておく必要があるかなと。
その上で、必要なものを揃えていく方が、大まかな方向性は間違えずに進めるでしょう。
自分の場合は、事務所の規模をとにかく大きくしていくということは目指しておらず、継続サポートとなる顧問業務をメインとしながらも、単発サポートである単発税務相談や個別コンサルティングなどスポット的なサービスにも注力していきたいなとぼんやり考えていました。
継続サポートとなる顧問業務を広げていくと、結果的には顧問先の数を求めてしまうことになり、そのためには事務所の規模を大きくすることが目的となってしまうかもしれません。
そうなると、事務所の規模の競争になってしまい、それだったら元々勤務していたところで、規模拡大に注力した方が良かったのでは、と思ってしまったのでした。
こうした事務所の方向性を見定めてから、個別の検討事項に入ることになります。
電子申告を基点に考える
個人・法人に関わらず、税務申告や手続きの電子化が進んできています。
一般的には、所得税の確定申告会場などで、手書きの申告書での提出を見る機会も多く、電子化が進んでいるとは言え、普及はまだまだかなという印象かもしれません。
しかしながら、税理士が直接関わるような事例では、ほぼほぼ電子申告での提出となっているのが現状です。
国税におけるe-Taxソフトや地方税におけるeLTAXソフトは、無料で提供されているものなので、それを利用すれば電子申告自体は出来ます。
市販されている会計・税務ソフトのシリーズとして電子申告対応のものであれば、一連の流れで申告書作成から電子申告と繋がっていたりするので、会計・税務ソフトに電子申告出来る機能があるかの確認が必要となります。
極端に言えば、個人事業で自分で会計ソフトに入力されていて、その内容確認と所得税の確定申告書の作成をサポートするだけであれば、こちらで会計・税務ソフトを用意しなくても、申告まで完了することも出来ます。
連携の具合で考える
個人事業をしている方の所得税の確定申告をする。
一行で表現される内容ですが、顧問業務として請け負うとすると、1年間を通して、色々な手続きなどがあります。
それらの業務を行うために、会計・税務ソフトを利用することになります。
例えば、
会計
給与
年末調整・法定調書
固定資産管理
所得税
消費税
届出・申請
電子申告
など、ソフトの種類や名前はメーカーによって違いますが、大まかな区分としてはこのような形となります。
申告方法が電子申告の場合には、全てのソフトが電子申告のソフトと関係することになります。
・個人の確定申告書
所得税→電子申告
などです。
その場合、電子申告ソフトとの連携というのは重要となります。
また、電子申告以外のソフト同士でも、連携すれば処理が効率的になる部分もあったりするので、そういった機能がないかの確認も必要になります。
・個人の確定申告書
会計・給与・固定資産管理→所得税→電子申告
出来るだけ同じ項目・数値の転記作業というのは、間違い防止や処理時間の短縮の意味もあり、出来るだけ避けたいところです。
コスト面で考える
電子申告の機能を備えて、個々の会計・税務ソフトの連携がし易いパッケージ製品などを導入すれば、効率的な処理を行うことが出来るでしょう。
ただ、そういったパッケージ製品というのは、ある程度の顧問先数を見据えたものが多いため、コストとしては金額が高くなる傾向にあります。
開業時にある程度の顧問先の数がある、事務所の規模を大きくしていくことを前提にしているなどであれば、例えコストがかかるとしても、必要経費であり、先行投資の意味でも、迷わず導入でもいいかもしれません。
ただ、そこを目指していないのであれば、コストを抑えることも必要です。そこはどの辺りまで連携などの効率を求めるか、効率とコストのバランスを見て決めていくしかありません。
開業当初で比較的時間の余裕がある場合には、一旦コストを掛けずにやってみて、そこにかかる時間・手間を試した上で、そこに見合うコストを掛けてみるのかを考えてみてもいいかもしれません。
おわりに
私自身も最初に色々と失敗したなと思うこともあったり、今もこれは無駄だったなぁと思うことが出て来たりします。
そうした失敗を繰り返しつつ、他の人の経験もお聞きしながら、自分なりの開業スタイルを作っていければいいのかなと思います。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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