倍速の使い分け

以前の記事でタイムパフォーマンスについて取り上げたことがありました。

 「いま何が売れる?コロナが変えた消費者行動」を受講してタイムパフォーマンスについて考えてみる

先日久しぶりにタイムパフォーマンスという言葉を耳にする機会があり、そこで倍速というキーワードが新たに出て来ました。

倍速再生の活用

タイムパフォーマンスというと、私自身は今でもあまり馴染みがありません。

若い世代で流行っている概念みたいなもの?という意識がまだあります。

しかしながら、倍速というと、昔から馴染みがあります。

古くは、ビデオテープに録画したテレビ番組のCMを倍速で飛ばして観るなど。

その時は、時間がもったいないというよりは、早く続きが観たいという思いだけではありましたが。

研修やセミナーの動画を倍速にして受講するというのは、特に税理士業界に入ってからよく見聞きするようになりました。

働きながら知識を習得するというのは、時間をいかに有効活用するかというのがポイントになったりします。

3時間のセミナーをただじっくり聴くというのも必要かもしれませんが、出来れば重要な部分だけを取り出して、効率よく知識を習得しておきたい、というのが本音のところでしょう。

単純にまとまった時間が取れない、ということもありますが、他にもポイントはあります。

それは知識自体の対象範囲が広すぎること、そしてその知識を習得するためのツールは更に多くあって、どれを選ぶかというだけでも大変な作業になります。

対象物が多過ぎて、それが自分にとって必要なものか、自分に合っているものなのか、など判断するだけでもある程度の時間がかかります。

一つ一つじっくり観るわけにもいかず、目次や見出しだけでは判断出来ないことも。

そんな時には、倍速でざっと通してみるというのは有効な手段になります。

特に、広い会場などで実施されたセミナーを後日オンラインで配信する場合などは、そのときの様子をよりリアルに感じてもらうために、必要最低限の編集しかされていないことが多かったりします。

当たり前ですが、講師の方など話す方は、分かり易いように、より丁寧にゆっくり話すことを心掛けていらっしゃいます。

そうすると、ざっと通して観たい人と目的が合致しないでしょう。

倍速で再生する方法を使うというのは、ある意味必然なのかもしれません。

時間に対する意識を持っておく

タイムパフォーマンスを考えた場合、出来るだけ短い時間で要点だけを掴めればいい、という思考になりがちです。

SNSでの発信でも、ショート動画の機能が重宝されたり、それ自体が主流になっている部分もあります。

そうなると、時間を掛けることが軽んじられ、じっくり取り組む姿勢がなくなってしまうのでは、という懸念を持つ声が上がってきます。

特に、子供の頃から、コンパクトにまとめられたものばかりに触れていたら、何か悪い影響が出るのではないか。

正直なところ、私自身はその良し悪しなどは判断出来ません。

もしかしたら、我慢が出来ない人間になってしまう人もいるのかもしれません。

ただ、時間に対する意識を子供の頃から持っておくというのは、そんなに悪いことではないかなと思っています。

目の前の時間がたっぷりあるからといって、与えられたものにそのまま取り組むだけではなく、時間は有限だと意識しながら、より短い時間で達成する方法はないか模索する。

そうした経験は、大人になってからでも役に立つものです。

みんながそうかは分かりませんが、私自身は、年齢を重ねるごとに時間が限られているということをより強く意識するようになってきています。

それこそ子供の頃であれば、これからの未来に期待と不安を抱いていましたが、それはまだまだ続くという感覚でした。

それ自体は悪いことではないですが、もう少し早い段階で時間に対する意識を持っておけば良かったかなと思うことがあります。

先日、自分の子供が好きなYouTuberの動画を観る時に、倍速を使っているという話になりました。

それは特別なことではなく、多くの人がしている当たり前のことのようです。

どこまで時間に対する意識を持っているかは分かりませんが、好きな動画を長時間観てしまうことへの対策と言えなくもありません。

じっくり時間を掛ける時もある

タイムパフォーマンスを考えると言っても、いつも倍速が使えるわけではありません。

世の中のほとんどのことが倍速に対応出来るようになれば、実現可能かもしれませんが、その時には倍速が通常になっているので、更なる倍速が求められることになるでしょう。

速ければ良いということばかりではありません。

セミナーや研修を受講する、本を読む、という時には速さだけを求めているわけではないでしょう。

本来の目的は、そこから知識やアイデアを習得すること。

いくら速く終わっても、その目的が達成されていなければ意味がありません。

私自身も、本を読むとき、特に税務に関するビジネス本や専門書を読むときには、じっくり時間を掛けるようにしています。

それは、じっくり読むことで、より多くのことが記憶されるからということではありません。

記憶力を人と比較したことはないですが、あまり良い方ではないのかなという自覚があります。

好きな推理小説などを読んでいても、長編になってくると、登場人物やそれまでの話の流れを覚えていなくて、最後のどんでん返しというときに、それってどういうこと?ということが結構あります。

それはじっくり時間を掛けて、ゆっくり読んでも同じことです。

ただ、記憶という意味では、1回目でしっかり覚えることは出来ませんが、その枠組みを捉えることで、2回目の時にはより理解しやすく、記憶を定着させることが出来ます。

そのための準備期間であり、そこはじっくり時間を掛ける必要があると思っています。

1日に100ページ読むのではなく、1日5ページ×20日=100ページというようなイメージで、じっくり時間を掛けます。

内容を捉えるというよりは、言葉の使い方や構成などを一度頭の中に通していくというような感覚でしょうか。

そうすることで、頭の中に何かしらの引っ掛かりが出来るので、内容は忘れてしまっても、また思い出すことで理解に繋がっていきます。

全てのことに時間を掛けることは出来ませんが、これというものには時間を掛ける時間を確保しておきたいものです。

おわりに

倍速については、あまりいいイメージを持っていませんでした。与えられたものを倍速で観るなんて、ルールに反するのでは、と。

しかしながら、そもそもルールなんてきちんと定められていることばかりではなく、過去の慣例などで自分を縛っているということもあるので、気を付けたいところです。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)

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