事業融資の返済条件を具体的な数値で把握しておく

事業で融資を受けることを検討する場合には、返済条件が重要な要素となってきます。

分かり易いところでいえば、返済期間や金利などが挙げられるでしょう。

ただ、そうした提示される条件が良いのか悪いのかというのは、提示された書面だけを見ていても判断が難しいところです。

金利が高い低い

事業融資を1,200万円受ける場合。

ここでは、イメージを付けやすいように、設備資金や運転資金の区分などは考えず、単純に返済期間と金利のみの条件でみていきます。

 ①返済期間 5年 金利0.5% 元金均等方式

 ②返済期間 5年 金利0.8% 元金均等方式

 ③返済期間 5年 金利1.0% 元金均等方式

例えば、上記の様な3つの条件が提示された場合であれば、迷うことはないでしょう。

融資金額と返済期間が同じであれば、金利が低い方が支払う利息が少なくなるので、①を選ぶと考えられます。

それで終わってもいいのですが、どれぐらいの利息金額の差があるのか、具体的な数値で確認してみます。

 

 ①返済期間 5年 金利0.5% 元金均等方式

 →利息合計 約15万円

  1年目   約5.4万円

  2年目   約4.2万円

  3年目   約3.0万円

  4年目   約1.8万円 

  5年目   約0.6万円 

 →単純に月平均にすると2,500円程です。

  

 ②返済期間 5年 金利0.8% 元金均等方式

 →利息合計 約24万円

  1年目   約8.6万円

  2年目   約6.7万円

  3年目   約4.8万円

  4年目   約2.9万円 

  5年目   約1.0万円 

 →単純に月平均にすると4,000円程です。

 

 ③返済期間 5年 金利1.0% 元金均等方式

 →利息合計 約30万円

  1年目   約10.8万円

  2年目   約8.4万円

  3年目   約6.0万円

  4年目   約3.6万円 

  5年目   約1.2万円 

 →単純に月平均にすると5,000円程です。

①と③を比べれば、単純に利息のトータル支払金額が15万円増えて倍となるので、①の方が有利というのは分かり易いです。

返済期間の長い短い

返済期間に着目した場合。

上記の金利の場合と同様に、下記のような条件があった場合。

事業融資額 1,200万円

ここでも、イメージを付けやすいように、設備資金や運転資金の区分などは考えず、単純に返済期間と金利のみの条件でみていきます。

 ①返済期間 5年 金利0.5% 元金均等方式

 ②返済期間 8年 金利0.5% 元金均等方式

 ③返済期間 10年 金利0.5% 元金均等方式

 

この場合には、具体的な数値で考えておく必要が出て来ます。

 

 ①返済期間 5年 金利0.5% 元金均等方式

 →利息合計 約15万円

  月の単純平均返済額 約20.2万円

 

 ②返済期間 8年 金利0.5% 元金均等方式

 →利息合計 約24万円

  月の単純平均返済額 約12.7万円

  

 ③返済期間 10年 金利0.5% 元金均等方式

 →利息合計 約30万円

  月の単純平均返済額 約10.2万円

融資金額と金利が同じであれば、返済期間が長い方が月々の返済金額が少なくなるのですが、返済期間が長くなれば、トータルの利息の支払額が増えることになります。

利息の支払額が少ない方を選ぶか、トータルの利息の支払額が増えても、月々の返済金額が少なくなる方を選ぶか。

①と③を比べれば、トータルの利息の支払額が15万円増えますが、月々の返済額は半分の10万円程減ることになります。

5年間で15万円の利息が増えるけれども、1年で3万円、1ヵ月で2,500円の負担増。

経営状況や月々の資金繰りで考えることになります。

提示された条件から考える

ここまでの事例では、返済期間と金利のどちらかを固定して単純化しているので、分かり易いところがありましたが、実際にはもう少し条件が変わってくるものです。

 

 ①返済期間 5年 金利0.5% 元金均等方式

 ②返済期間 8年 金利0.8% 元金均等方式

 ③返済期間 10年 金利1.0% 元利均等方式

 

例えば、上記の様な3つの条件が提示された場合。

これでも単純化されてはいますが、どれを選ぶかの検討は必要です。

金利が低い方が支払う利息の金額は少なくなる。

返済期間が長い方が月々の返済額は少なくなるが、支払う利息の金額は増える。

こうしたときこそ、返済条件を具体的な数値で把握してみます。

 

 ①返済期間 5年 金利0.5% 元金均等方式

 →利息合計 約15万円

  月の単純平均返済額 約20.2万円

 

 ②返済期間 8年 金利0.8% 元金均等方式

 →利息合計 約38万円

  月の単純平均返済額 約12.9万円

  

 ③返済期間 10年 金利1.0% 元利均等方式

 →利息合計 約60万円

  月の単純平均返済額 約10.5万円

 

資金繰りに問題なければ、①を選択する方がトータルの支払を減らすことが出来ます。

ただ、今後の経営状況が不透明で、不測の事態に備えることを想定すれば、③を選ぶことになるでしょう。

トータルの利息の支払金額は増えますが、①と比べれば毎月10万円の支出を減らすことが出来ます。

5年間で60万円の利息が増えるけれども、1年で12万円、1ヵ月で1万円の負担増。

月々1万円の負担増で、10万円の支出を抑えられるのが高いと思うがどうか。

具体的に数値化することで、経営判断の目安が分かり易くなるのものです。

おわりに

融資条件を提示された経営者の方からよく聞かれる質問ではあります。もちろん、その都度状況に応じた回答をしていますが、根本的な考え方は同じかなと思っています。


【広告スペース】>>>>>>>>>>>>>>


>>>>>>>>>>>>>> 【広告スペース】

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いている人

エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)

大阪市福島区を拠点に活動中。
オンラインも活用しているので、対応エリアは問いません。

平日毎日でブログを更新中。

プロフィールはこちら

主なサービスメニュー

【単発サポート】
 単発税務サポート
 個別コンサルティング
 確定申告サポート
 融資サポート

【継続サポート】
 顧問業務
 税務顧問応援パッケージ(福島区)
 税務顧問応援パッケージ(ラーメン屋さん)
 事務処理のひと手間を減らすサポート