決算自動化までの道のりのイメージ
クラウド会計を導入し、金融機関の口座明細やクレジットカード明細はデータで自動連携している。
これですぐ決算書が出来ますか?
こうした質問や相談を時々いただくことがあります。
便利なツールは最大限活用して、無駄な作業などは極力なくしていくべきだとは思いますが、現状を把握しておくということもまた必要です。
会計仕訳をきる
決算書を作成するためには、一つ一つの取引について、会計仕訳をきるということが基本になります。
例えば、9月10日にコンビニAで会議用の飲み物を購入し、現金で150円支払ったという場合。
9/10 会議費 / 現金 150 コンビニA 会議用飲み物
というような会計仕訳をきることになります。
昔であれば、この会計仕訳を紙の伝票に記載して、帳簿付けしていたこともありますが、最近では会計ソフトなどのシステムに入力することが多いかなと。
手書きに比べれば、会計ソフトに入力する方が手間暇が少なくて済むことが多いようですが、それでも一つ一つの項目を入力していくと、数が多くなればそれなりの時間が掛かるものです。
日付:9/10
借方勘定科目:会議費
貸方勘定科目:現金
金額:150円
摘要:コンビニA 会議用飲み物
・・・
これらの情報は、現金出納帳などの帳簿を作成していれば、そこから転記することになりますが、その元となるのは、現金支払いであれば領収書やレシートになります。
預金からの振込などであれば、まずは通帳に記帳された情報を元に会計仕訳を入力していくことになります。
A銀行 口座明細
・・・
9/10 振込 10,000 カ)Aショウジ
・・・
まずはこの情報から、会計仕訳の一部情報を入力する。
日付:9/10
借方勘定科目:???
貸方勘定科目:預金(A銀行)
金額:10,000円
摘要:カ)Aショウジ?
あとの不明な情報は、請求書等の内容が分かる資料で確認していく。
請求書があって、㈱A商事からの備品の購入代金ということが分かれば、会計仕訳に情報を追加していきます。
日付:9/10
借方勘定科目:消耗品費
貸方勘定科目:預金(A銀行)
金額:10,000円
摘要:㈱A商事 備品
こうした手続きを全ての取引で行っていくことになります。
自動取込で省けるもの
こうした会計仕訳を一つ一つ登録していくのは、登録数が多いと、それだけ時間が掛かることになります。
一つの取引を会計仕訳としてきるのに、1分掛かるとした場合。
100仕訳で1時間40分。
1,000仕訳で16時間40分。
登録する会計仕訳の数は、事業の規模などにもよりますが、1日平均取引数を10としても、年間の取引数は3,650。
一つ一つの売上の請求や備品の購入などを考えれば、決して多過ぎる数ではないでしょう。
会計ソフトに入力するスピードを速くするといっても、タイピングのスピードを速くするなどでは限界があります。
そこで注目されたのが、口座明細の自動取込などの機能です。
入力する手間が省けるというのが大きな特徴。
今まで手動で入力していたものを自動化出来るというのは画期的なものです。
ただ、会計仕訳の全てが自動化されると勘違いされやすいところでもあります。
前項の例でいえば、
A銀行 口座明細
・・・
9/10 振込 10,000 カ)Aショウジ
・・・
という情報が自動取込できるということ。
会計仕訳としては、
日付:9/10
借方勘定科目:???
貸方勘定科目:預金(A銀行)
金額:10,000円
摘要:カ)Aショウジ?
という状態です。
ここから請求書などの情報を元に、追加の処理が必要になります。
もちろん、AI機能やパターン登録することで、摘要などから勘定科目などを自動割当できる場合もあります。
ただ、全てのパターンに対応できるようにするというのは現実的ではなく、人が確認するという手間を完全に省くのは難しいものです。
それでも、ほとんどの情報を手入力しなくてよくなり、大きく手間が省けるというのは間違いないかなと。
自動取込以外の対応
こうした自動取込で、大幅に時間の短縮が図れれば、決算自動化に近付けるのか。
それは、自動取込以外の会計仕訳の入力の仕方にも影響されるものです。
A銀行の口座明細の自動取込はしているが、B銀行の口座明細はネットバンキングを利用していないため自動取込が出来ない。
現金支払いが多く、現金出納帳や領収書やレシートから会計仕訳を入力する必要がある。
・・・
色んなケースが考えられますが、簡単には決算自動化が出来るわけではありません。
そもそも決算自動化の意味合いにも、様々な段階があります。
何も処理しなくても、勝手に決算書が出来上がっている。
これが一番イメージし易いものかもしれませんが、なかなか実現は難しいもの。
現実的には、会計仕訳を手動で入力しなくても、決算書が出来上がる、というのところでしょうか。
そう考えると、自動取込だけではなく、売上の請求書を発行すれば、自動的に会計仕訳が作成されたり、Excelファイルに入力された情報から会計仕訳を登録するなどの方法も利用できるでしょう。
これからもっともっと便利な機能が出てくるとは思いますが、今のところは決算自動化に近付けるために色んな機能を駆使しつつ、人の確認も必要というのが現実的なんだと思っています。
おわりに
決算の自動化は便利ではありますが、事業の状況を把握するというのは必要なものなので、関知しないというのとはまた別のものかなと思っています。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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