申請が通れば報告が待っている
誰かにお願いして、助けてもらいながら、ものごとを進めている場合、その結果がどうなったかというのは、助けてもらった人には伝えるものでしょう。
色々な考え方がありますし、ベストとなタイミングで伝えることが出来ないこともあるでしょうが、伝える必要はない、と断言する人はあまりいないかなと。
しかしながら、明確に相手が見えないときには、そうした基本的な感覚が欠如してしまうことがあるようです。
補助金・助成金
税理士として事業者の方に接していると、補助金・助成金の話というのはよく出て来ます。
特に2020年に始まるコロナ禍という状況では、事業自体に制限が掛かることもあり、そうした事業者を助けるための施策が打ち出されてきました。
補助金・助成金もその一つです。
こうした制度自体は、元々あったもので、コロナ禍という状況に合わせて、制度の内容を拡充させるというものが多い印象があります。
本来、補助金・助成金というのは、税金などを原資として、国などから支給されるものなので、無条件で配るということは想定されていません。
いつ、何のために、いくら必要なのか、というようなことを申請という形でお願いするようなイメージです。
支給できる金額の総額には限りがあるので、審査をした上で、申請が通れば支給されるという流れになります。
そして、多くの補助金・助成金においては、何のためにという部分を後追いする形となっています。
効率化するために、であれば、効率化を数値化して目標を掲げる申請をしてもらい、その後の効率化がどうなったかを数値化して報告を求めることになります。
申請した後にまで、手間暇が掛かるというのは歓迎されないかもしれません。
しかしながら、理屈としては間違っていないということは何となく理解出来るでしょう。
こうした手間暇も含めて、補助金・助成金の申請には一定のハードルがあるという認識が浸透していたように感じていました。
これがコロナ禍という状況で少し風向きが変わったように思っています。
緊急性があるので、とにかく簡単さと速さが重視されている。
そして、報告は出来るだけ求めない。
そうした制度があることの普及活動も広く行われて、目を引く言葉が強調され、良い点だけが印象に残るようになってしまう。
事業者の補助金・助成金に対する心理的なハードルが下がってきているのでしょう。
委託するということ
事業者の補助金・助成金に対する心理的なハードルが下がるというのは、ある意味良いことなんだと思っています。
もしかしたら補助金・助成金を利用出来るかもしれないという検討が出来るというのは事業にプラスになるかもしれません。
新しいことに挑戦し易い環境になることもあるでしょう。
そうした気概を持って、申請するのであれば、後で報告するというのは、手間暇と感じないかもしれません。
むしろ、効果を把握するために、積極的に取り組む場合もあるでしょう。
ただ、申請手続きというのは、事務処理がメインとなるものです。
時間的な問題、事務処理の得手不得手の問題があって、そこがネックになることもあるでしょう。
そうした場合には、専門家に委託するというのも一つの方法です。
こうした手続きを専門的に有料サービスとして行っている場合も多くあります。
サービス内容としては、丸投げのところから、申請のお手伝いをするというスタンスのところまで、幅広いものです。
有料サービスであっても、申請が通れば、後から補助金・助成金が支給されるので、それで賄うことが出来るという思惑もあるかもしれません。
そうした切り口で営業しているケースもあるようです。
委託を受ける側も商売ですので、それを否定したり、批判するという意図はありません。
むしろ、そうした手法もあるのかと勉強させてもらっている気持ちです。
誰かにとって苦手な部分をカバーして、お役に立てるというのは、自分が仕事をする上でも大事にしていることです。
ただ、どこまでお役に立てているかは意識しておきたいところです。
代行とのバランス
補助金・助成金は、基本的に、事業で必要な目的を達成するためのものです。
その目的が明確であっても、ぼんやりしていても、一定の方向を目指しているものでしょう。
そうした思考の元、申請というお願いをしていくことになります。
これは本来、事業者が全て行うものですが、役割分担することもあるでしょう。
事業者が目的・申請の方向性を考える。
それを申請書という形に落とし込んでいく。
こうした事務処理的な部分は委託することも出来るでしょう。
事務処理を代行した方が効率的かもしれません。
これが、全て委託するとなるとどうか。
現実的にはあり得ないでしょう。
事業者が何も把握せずに、申請に一切携わることなく、補助金・助成金の支給を受ける。
ただ、形式的なところではなく、本質的なところはどうなのか。
事業で必要な目的は事業者からの発信であって欲しいものです。
ああしたい、こうしたい、という試行錯誤は事業をしていく上で避けては通れないところでしょう。
その上で、補助金・助成金を受けるという選択をする。
こうした一連の流れがしっかり出来ていれば、申請したら報告までという意識は芽生えやすいかもしれません。
少なくとも申請して通れば終わり、ということにはならないのかなと。
おわりに
理想論かもしれませんが、本来の形を改めて意識するということも大事なのだと思います。
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この記事を書いている人
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代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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