医療法人の事業報告書等をインターネットで閲覧できることの影響
株式会社の場合、自社の財務情報等を決算公告として開示しなければなりません。
医療法人においても、公共性の観点から事業報告書等が開示されていて、誰でも閲覧することが可能です。
以前であれば、紙ベースでの閲覧でしたが、令和5年4月から本格的にインターネットで閲覧出来るようになりました。
今回は、医療法人の事業報告書等の開示とインターネットで閲覧できることの影響などについて、取り上げてみます。
なお、これらの情報は、2024年2月1日現在の状況となりますので、最新情報は、リンク先の情報等を合わせてご確認下さい。
書類での閲覧の概要
医療法人の事業報告書等の取扱いの管轄は、基本的に都道府県になります。
細かいところについては、各都道府県によって取り扱いの違いはありますが、大まかな方向性と言うのは同じになります。
今回は、大阪府・兵庫県を例にして、取り上げていきます。
大阪府の場合、事業報告書等の書類の閲覧については、大阪府のホームページにも掲載されています。
大阪府ホームページ
C-4.決算書(事業報告書等)の閲覧
閲覧できる書類として主なものを挙げれば、下記のようなものが雛形として掲載されています。
大阪府ホームページ
C-1.決算書(事業報告書等)の届出
1.事業報告書
2.財産目録
3.貸借対照表
4.損益計算書
基本的には、閲覧場所まで出向いて行って、紙の書類を閲覧することになります。
場合によっては、有料で複写(コピー)することも出来ます。
兵庫県ホームページ
医療法人の事業報告書等の閲覧について
インターネットでの閲覧の概要
医療法人の事業報告書等をインターネットで閲覧する場合も、閲覧できる内容などは、書類での閲覧と大きくは変わりません。
大阪府ホームページ
C-4.決算書(事業報告書等)の閲覧
インターネットで公開されているリストから、該当する医療法人を探して、該当するPDFファイルを開いて閲覧することになります。
大阪府で公開されているリストはこんな形です。
大阪府ホームページ
C-4.決算書(事業報告書等)の閲覧
大阪府行政オンラインシステム
申請できる手続き一覧
該当するPDFファイルを開いて、該当の医療法人を探すという流れです。
兵庫県の場合も、大まかな流れは同じです。
兵庫県ホームページ
医療法人の事業報告書等のインターネットでの閲覧について
考えられる影響
医療法人の事業報告書等をインターネット閲覧出来るようになったことの大きな違いは、気軽に閲覧出来るようになったこと。
書類の閲覧であれば、移動時間と閲覧を申請する時間など物理的な手間がどうしても必要になります。
それが、パソコンとネット環境が揃えば、閲覧出来るようになった。
それは大きな違いです。
例えば、近隣の病院や診療所の財務状況などを簡単に調べることが出来ます。
医療収入(売上)がいくらぐらいあって、利益がどれぐらいあるのか。
もちろん細かい情報は公開されていないので、あくまで大枠ではありますが。
簡単な財務分析であれば、無作為に行うことが出来るので、これらのデータを元にした営業というのも増えてくるかもしれません。
ただ、データの取得としては、大阪府と兵庫県の例しか見ていませんが、かなりアナログなイメージがあります。
財務状況などの情報は、PDFファイルの中に画像として保存されている。
これらを文字情報として収集するのは、簡単ではないかなと。
今後は、AI-OCRやRPAなどを駆使すれば、膨大な量のデータベースが作成されるかもしれません。
その時には、また風向きが変わりそうです。
おわりに
閲覧する側としては、インターネットで閲覧できるのは、利便性が高そうです。
ただ、閲覧される側としては、義務とはいえ、手放しで喜べることではないかもしれません。
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