法人の決算期を決める時に考えること
何月決算ですか?
法人の情報を確認する際には、必ず聞かれる内容の一つでしょう。
法人の決算期というのは、任意で選択することが出来ますが、なぜその月になったのか分からないということを見聞きすることがあります。
いつもベストな選択が出来るわけではありませんが、何かしらの理由付けはしておきたいところです。
税務メリットを考えるのも大事だけれど
法人の決算期を決めた理由として、よく聞くのは、設立日を基準にしたというもの。
例えば、7月16日が法人設立日の場合。
とりあえず、決算期が一番先になるように設定する。
7月16日から事業も開始していれば、1年後の6月が一番先の決算期となります。
7月に法人を設立したので、6月決算にするというのは、よく見聞きする話です。
そのこと自体が特に問題があるわけではありません。
他に考慮すべきことがなければ、それで支障はないでしょう。
ここでいう他に考慮すべきことの一つというのは、税務メリットなどが挙げられます。
いわゆる税金的にメリット・デメリットがないかというもの。
例えば、消費税の納税義務に関連したものでいえば、決算期の設定によって、免税となる期間を最大限にするなど。
以前であれば、大きなメリットとなることもありましたが、2023(令和5)年10月1日から始まったインボイス制度の影響もあって、それがメリットにはならないケースも出て来ました。
こうした税務メリットを考えるのも大事ではありますが、専門的な内容になることも多く、また今後の事業展開によって変わってくる部分もあるので、判断が難しいところではあります。
まずは、取っ掛かりやすいところから考えるのも一つの方法です。
売上や業務の波で考える
決算期を決めれば、事業年度が決まることになります。
7月決算とすれば、8月~7月という期間。
1年間を通しての売上が毎月ほぼ一定という場合には、決算にあたって考慮することはあまりないかもしれません。
売上
8月 100
9月 110
10月 100
11月 90
12月 80
1月 90
2月 100
3月 110
4月 120
5月 100
6月 110
7月 120
しかしながら、事業内容によっては、1年間を通しての毎月の売上に波があることもあるでしょう。
売上
8月 10
9月 10
10月 20
11月 10
12月 10
1月 10
2月 20
3月 30
4月 30
5月 40
6月 100
7月 200
7月が売上のピークとなる場合、それだけ利益も増加することになり、税金の負担も増えることが想定されます。
だからといって、安易に経費を増やして利益を減らすというわけにはいきません。
しかしながら、それだけ利益が出ることが分かっていれば、その事業年度で、必要な経費への配分を検討することもあるでしょう。
それが事業年度の初めの方であれば、結果的に税金対策にもなったりするものですが、期末の方になれば、売上だけがあがって先に税負担が必要となってしまいます。
どの月が決算期としてベストかというのは、他の要素も考慮する必要がありますが、上記の例でいえば、7月ではないということなります。
もちろん、売上の波が毎年決まっていない場合もあるでしょう。
そうした場合には、業務の集中度合いで判断するというのも一つの考え方です。
7月決算の場合であれば、8月~7月という期間で税務申告等を行っていきます。
税務申告のスケジュールでいえば、決算月の2ヵ月後の9月末が通常の申告・納付期限になります。
そうなると、7月~9月ぐらいまでは決算に関連した業務を集中して行うことになります。
そこに、他の業務の繁忙期なども集中すると、充分な検討が行われないまま決算を進めてしまうことにもなりかねません。
業務の繁忙期などが分かっていれば、そこを分散させるというのも一つの方法です。
決算期の変更も考える
決算期を決める時に考えることとして、税務メリット・売上や業務の波などを挙げていますが、それらの前提としては、事業の状況がある程度把握出来ていることが必要となります。
でも、決算期を決めるのは、法人の設立をする最初の段階。
その段階で、税務メリット・売上や業務の波などが分かるものなのか。
もちろん、ある程度は予測できる場合もあるでしょう。
その場合には、そうした情報を元に決算期を決めていく。
でも、多くの場合、分からないことの方が一般的かもしれません。
その場合には、まずは取っ掛かりとして、法人の設立日を基準として決算期を決める。
その上で、実績を積み重ねて、後に決算期を変更するというのも一つの方法です。
決算期を変更する、というと大変と思われるかもしれませんが、手続きとしてはシンプルです。
まずは、法人として決算期の変更を決める。
株式会社であれば、株主総会で決めるなど、一定の手続きが必要です。
そして、定款を変更して、税務署等に届出する。
国税庁ホームページ
C1-8 異動事項に関する届出
おわりに
前期との比較がしにくくなるなどのデメリットもありますが、事業の状況を把握してから決算期を決めるというのも選択肢の一つです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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