年末調整手続きの電子化への第一歩のススメ
2020年10月に国税庁から無償の年末調整ソフトがリリースされる予定です。年末調整手続きの電子化へ向けた取り組みとして、最初は混乱があるかもしれませんが、期待したいところです。
理想としては、年末調整手続きの全てを電子化することですが、従業員全員にマイナンバーカードを取得してもらう、パソコン等の操作で必要書類を提出してもらうなど、現実的には全ての事業所で一気に導入することは難しいでしょう。だからといって、従来の紙ベースでのやり取りに固執して、電子化への流れを止めてしまうのは、せっかくの効率化のチャンスを逃してしまうかもしれません。
今回は、年末調整手続きの電子化について、進めやすいと思われる内容を紹介することで、電子化への第1歩を踏み出すきっかけになればと思い、私見を交えながら、その内容についてまとめてみました。
これらの情報は、2020年9月24日現在の状況となりますので、最新情報は、リンク先の情報等も合わせてご確認されますようご留意ください。
年末調整手続きの電子化の概要
年末調整手続きの電子化については、国税庁のホームページでまとめられています。
元々扶養控除申告書等の電子化は進められていましたが、今回は生命保険料の控除証明書等をマイナンバーカードを使ってデータで取得して、そのまま年末調整資料としてデータを取り込んで使用することでき、完全に電子化が可能となるということで注目されています。
国税庁ホームページ
年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)
こうしてみると、従業員・勤務先共に従来のやり方から何らか変更することが必要となってきます。この時にネックとなるのは、やはり従業員さん側ではないかと考えられます。1年に1回のことで、仕事の一貫といえばそうですが、メインの業務ではないので、出来るだけ手間暇掛けたくないというのが本音のところかと思います。マイナンバーの普及が思うように進まない現状で考えると、マイナンバーカードの取得を進めるというのはかなりハードルが高そうです。
電子化する項目を絞る
全てを電子化することを考えなければ、色々と選択肢が出て来ます。
例えば、下図の赤枠の部分は従来通り書面とすることを考えてみます。(赤枠はこちらで追記したものです)
こちらはこれまででも電子化出来た項目ですが、年末調整申告書のデータ送信には勤務先側で給与システムの導入が必要であったため、今回国税庁から無償の年末調整ソフトが提供されるというので、状況は変わってきていると考えられます。
その場合には、国税庁のホームページで紹介されているパターンに当てはめることが出来ます。
国税庁ホームページ
年末調整手続の電子化に関するパンフレットについて
年末調整手続の電子化について ~実施方法検討・周知編~(PDF/1,610KB)
(赤枠はこちらで追記したものです)
上図のようにデメリットとしては、従業員側で保険料控除証明書等の各項目の転記・計算が必要となる、勤務先側でそのチェック・検算する必要があることが挙げられています。しかしながら、実務的には、データで自動取得出来たとしても、一度は数値の確認は必要となると思われるので、必要な工程かなとも考えられます。
また、控除証明書等の書面での保管がこれからも必要ということも挙げられていますが、それでも従来のように書類一式を書面で保管していたことに比べれば、大幅に保管場所等を削減出来るのではないかなと思います。もちろん、従業員が何百・何千人といるところでは、それでも保管コスト等は大きいかもしれませんが、大多数の事業所ではそこまで大きくないでしょう。
電子化する項目を絞っても必要な手続き等
従業員側では、年末調整申告書をデータ入力するためのソフトを導入する必要があります。勤務先が民間のシステムを有償で導入する場合には、そのシステムを使えばよいですが、コストを掛けてまでとなると導入が遅くなるかもしれません。
その時には、国税庁から無償で提供予定の年調ソフトを検討してみるのも一つです。
国税庁ホームページ
年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)
国税庁ホームページ
年末調整手続の電子化に関するパンフレットについて
年末調整手続の電子化について ~年調ソフト編~(PDF/1,004KB)
勤務先側では、年末調整申告書の電子化のために、税務署への届出が必要となります。
国税庁ホームページ
[手続名]源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請
国税庁ホームページ
年末調整手続の電子化に関するパンフレットについて
年末調整手続の電子化について ~システム改修・届出編~(PDF/1,679KB)
おわりに
年末調整の手続きについては、なかなか電子化が進まず、書面でのやりとりとなるため、効率化が図りにくい部分がありました。今の流れで、少しでも電子化が進んで、従業員・勤務先両方の手間暇が少しでも減ればいいなと思います。資料の収集方法だけではなく、時期や期限の問題もありますが・・・。
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この記事を書いている人
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藤園 真樹(ふじぞの まさき)
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