個人か法人かを納税の仕方で選ぶ
事業を行う上で、どういった組織形態を選ぶのかという問題があります。
大きく分けて考えれば、個人か法人か。
他にも選択肢はありますが、多くの場合この2択が多いかなと。
選ぶ時には、税メリットだったり、世間体だったり、色んな要素を考え合わせることになりますが、納税の仕方で選ぶというのも一つの方法です。
個人から法人成りを考える時
個人で事業を始めて、業績が順調で、事業拡大を考える際などには、株式会社など法人組織への移行を考える。
いわゆる法人成りと呼ばれるものです。
全てに当てはまるわけでありませんが、税メリットに重点を置いていることが多い印象です。
ざっくり言えば、個人よりも法人の方が税率が低くなる場合があるというもの。
もう少し詳細な内容については、別の記事でも取り上げていますので、そちらもご参照ください。
同じ利益で、
個人の納税負担 ・・・ 1,000
法人の納税負担 ・・・ 900
だとしたら、どちらを選ぶのか。
迷わず法人を選ぶ場合が多いかもしれません。
上記の記事でも取り上げているように、トータルの納税負担は減るにしても、個人事業で行っていた時の個人の手取りと法人になった後の個人の手取りとを比較して、自分の手取りが減るのは嫌だという判断もあり得ます。
しかしながら、こんなに単純な話ではないのが難しいところ。
納税負担は法人の方が少なくなるとしても、他の要素で負担が増えることがあれば、どこを重視するかで判断することになります。
個人の納税負担 ・・・ 1,000
法人の納税負担 ・・・ 900
その他の法人負担・・・ 100
となれば、数値上は負担は変わらない。
他の要素で判断していく必要があります。
対外的な信用度など計数化出来ない要素を加味してい考えていく。
納税の仕方もまたその一つです。
個人と法人とで納税の仕方が変わるもの
個人と法人とで変わることはいくつかありますが、納税の仕方もその一つです。
納税のスケジュールが変わるというとイメージし易いかもしれません。
税目が変わるので、その納税のタイミングもそれぞれ分かれてきます。
個人事業で源泉徴収の対象となる業種の場合には、給与のようにあらかじめ所得税が引かれていて、先に税金が徴収されているようなイメージになりますが、法人になれば源泉徴収はされません。
給与であれば、年末調整で徴収され過ぎた税金が戻ってくることもあります。
同じように、個人事業でも源泉徴収の対象となる業種で、あらかじめ引かれた所得税が多ければ、確定申告で戻ってくる場合もあります。
確定申告をすることで、税金が戻ってくるというイメージを持たれている個人事業主の方も多いかもしれません。
しかしながら、法人成りするとあらかじめ税金が引かれているということがないので、利益が出ていれば、基本的に追加で納税していくことになります。
どちらの納税の仕方が合っているか
事業で利益が出ていて、その何十パーセントかは税金として支払う。
<年間>
売上 1,200
経費 900
税引前利益 300
税金 100
税引後利益 200
特に問題ないよう思われるかもしれませんが、納税のタイミングによっては、実際の資金繰りが上手くいかないこともあります。
上記の例が個人事業で源泉徴収の対象となる場合。
売上が100/月で、源泉徴収が10/月されているとします。
すると、10/月×12ヵ月=120の税金が先に徴収されていることになります。
単純に考えると、税金100のうち、既に税金120を支払っていて、税金を20払い過ぎているので、後々戻ってくることになります。
追加で支払う税金はゼロで、毎月の納税負担はほぼ均等になります。
しかも、売上入金時に既に引かれているので、毎月の売上が100でも使えるお金は90しかありません。
01月 10
02月 10
03月 10
04月 10
05月 10
06月 10
07月 10
08月 10
09月 10
10月 10
11月 10
12月 10
翌月以降 △20
これが法人の場合はどうか。
中間納付などがなければ、決算後にまとめて納税の負担が出てくることになります。
01月 0
02月 0
03月 0
04月 0
05月 0
06月 0
07月 0
08月 0
09月 0
10月 0
11月 0
12月 0
翌月以降 100
個人と法人とで税金が同じとした場合、トータルで考えれば同じ金額なので、負担は同じように見えます。
しかしながら、毎月の売上が100で、そのまま100が入金されるとなると、自分で10を納税のために避けておく必要があります。
これが普通に出来れば、特に問題ありません。
もしも、これがなかなか難しいのであれば、個人事業を選ぶのも一つの方法です。
目の前にお金があると、どうしても使ってしまう。
法人にすることで多少の税負担が減るにしても、それ以上に損失があるのであれば、源泉徴収の対象となるように個人事業にしておくことを検討するのも有用です。
おわりに
法人で事業をされていても、特に理由はないということはよく見聞きするところです。
明確に正解が出るわけではありませんが、何かしら理由付けはしておきたいところです。
【広告スペース】>>>>>>>>>>>>>>
>>>>>>>>>>>>>> 【広告スペース】
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いている人
エフティエフ税理士事務所
代表 税理士
藤園 真樹(ふじぞの まさき)
大阪市福島区を拠点に活動中。
オンラインも活用しているので、対応エリアは問いません。
平日毎日でブログを更新中。
プロフィールはこちら
主なサービスメニュー
【単発サポート】
単発税務サポート
個別コンサルティング
確定申告サポート
融資サポート
【継続サポート】
顧問業務
税務顧問応援パッケージ(福島区)
税務顧問応援パッケージ(ラーメン屋さん)
事務処理のひと手間を減らすサポート